億り人・なべさんは、利益に対して株価が割安な「収益バリュー株」に注目する(本人のXより)
日経平均株価はかつてない高値圏とはいえ、5万円台を巡って乱高下する値動きが続いている。そんな相場の主役となっているのが、アドバンテストやソフトバンクグループをはじめとするAI(人工知能)・半導体関連銘柄だ。それに対して、「一部の銘柄だけが過熱して、日経平均だけが上がっているイメージ。いずれ行き詰まるのではないか」と冷静な目を向けるのが、40代で資産3億円超を築いている現役サラリーマン投資家・なべさんだ。
なべさんの冷静さは投資を始めた20代のころから変わらないものだった。社会人になって4年目の2007年、なべさんはまず投資に関する書籍を読みまくり勉強することから始めたという。
「ベンジャミン・グレアムの『賢明なる投資家』をはじめバリュー投資家の本を何冊も読んで、いずれも資産を年率20%以上で増やしていることがわかりました。これなら自分にもできるのではないかと思ったんです。
それまでに貯蓄していた430万円を元手に、三菱商事や住友商事などPER(株価収益率)の低いバリュー(割安)株を買いました」(以下、「」内コメントはなべさん)
「年率20%で成長させれば10年強で1億円」を目標に
投資を始めて1年が過ぎた2008年、「リーマン・ショック」に見舞われた。
「当時は市場全体が軒並み半分以下に暴落するなか、私の資産も半分以下に落ちこみました。株式投資を始めたばかりで、正直、吐きそうになるくらいでしたが、それでも『毎年200万~250万円を投資し続けて、年率20%で成長させれば、10年ちょっとで1億円になる』を目標にしていたので、リーマン・ショックでも割安な銘柄を探して買い続けました。その時はオリックスやコマツなどの優良銘柄が今では信じられないくらい安かった。財務内容を見ても潰れるわけがないと思い、それらの銘柄を仕込みました」
なべさんが投資を始めてから一貫してきた「バリュー株投資」だが、投資対象は大きく分けて2種類ある。会社の資産価値に対して株価が割安な「資産バリュー株」と、利益に対して株価が割安な「収益バリュー株」。なべさんが得意なのは後者であり、PBR(株価純資産倍率)以上にPERを重視して割安銘柄を探し出す。企業が本来持っている「稼ぐ力」から見て割安な銘柄は、むしろ暴落時だからこそ安く仕込めるというわけだ。
