閉じる ×
閉じるボタン
有料会員限定機能の「クリップ」で
お気に入りの記事を保存できます。
クリップした記事は「マイページ」に
一覧で表示されます。
マネーポストWEBプレミアムに
ご登録済みの方はこちら
小学館IDをお持ちでない方はこちら
FiscoNews

【注目トピックス 日本株】ソフト99 Research Memo(1):2026年3月期中間期は期初計画を上回る。エフィッシモによるTOBが成立

*11:31JST ソフト99 Research Memo(1):2026年3月期中間期は期初計画を上回る。エフィッシモによるTOBが成立
■業績動向

1. 2026年3月期中間期はポーラスマテリアル事業がけん引し、期初計画を上回る
ソフト99コーポレーション<4464>の2026年3月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比5.9%増の15,252百万円、営業利益で同6.0%増の1,924百万円、経常利益で同8.4%増の2,070百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同0.6%減の1,268百万円となり、期初計画(売上高14,800百万円、営業利益1,520百万円、経常利益1,620百万円、親会社株主に帰属する中間純利益1,040百万円)を上回って着地した。生成AI用半導体の需要急増を背景に付加価値の高い半導体製造用洗浄材の売上が想定以上に伸長したことが主因だ。なお、同社は2025年8月にMBOを実施することを発表しており、公開買付関連費用215百万円を特別損失として計上した影響により、親会社株主に帰属する中間純利益は微減益となった。

事業セグメント別業績を見ると、ファインケミカル事業は売上高で前年同期比4.7%増の6,962百万円、営業利益で同17.9%減の720百万円となった。売上高は国内市場で一般消費者向けガラスケア製品やメガネクリーナーのOEM製品、TPMS(タイヤ空気圧監視装置)などが伸長した。そのほか、海外市場もSNSプロモーションを展開したことなどが奏功し、東アジア、ブラジル、欧州向けに撥水剤やガラスケア、ボディケア製品などの販売が伸び、2期ぶりに増収に転じた。一方、営業利益は広告宣伝費をはじめとした戦略経費の増加や基幹システム稼働に伴う減価償却費などの増加が減益要因となったが、ほぼ計画どおりの進捗となった。

ポーラスマテリアル事業の売上高は前年同期比12.1%増の4,825百万円、営業利益は同30.7%増の900百万円となり、中間期として過去最高業績を更新した。売上高の8割強を占める産業資材部門のうち、半導体製造ラインの洗浄工程で用いられるブラシローラーが増収と高成長を持続し、収益のけん引役となった。先端半導体のウェーハ洗浄工程では、ナノレベルのパーティクルをウェーハにダメージを与えず除去する必要があり、高レベルの清浄度と吸水性能、安定した品質が要求される。この技術水準を満たすメーカーは世界でも同社と米国の1社だけとされており、先端半導体の生産量拡大とともに同社製品の売上も成長が続いている。そのほかの産業用途では、プリンタ向けが堅調に推移した一方で、医療向けが病院のコスト削減意識の高まりなどにより低調に推移した。生活資材部門は、国内向けが家庭用製品の落ち込みにより減収となったものの、海外向けが主要仕向け地先である米国で関税影響回避のための前倒し発注があった影響で、全体では増収となった。利益面では、付加価値の高い半導体向け製品の好調により増益となり、利益率も前年同期の16.0%から18.7%に上昇した。

サービス事業の売上高は前年同期比0.1%減の2,814百万円と横ばい水準にとどまったものの、営業利益は売上ミックスの改善と販管費の減少により同35.9%増の142百万円となった。売上高の内訳を見ると、生活用品企画販売事業は生協向け採用数の減少で減収となったが、自動車整備・鈑金事業や自動車教習事業が増収となった。自動車整備・鈑金事業では、工賃単価の適正化に取り組んだことや、2025年初めに新たにメーカー1社から認証を取得したことで、修理単価の高い車両の入庫が増加したこと、また美装用プロテクションフィルムの販売が好調に推移したことが増収要因となった。自動車教習事業では、普通自動車免許の生徒数増加により増収となった。

不動産関連事業の売上高は前年同期比3.0%増の648百万円、営業利益は同12.8%増の156百万円となった。不動産賃貸事業が一部の保有物件で退去があったことなどにより減収となったものの、温浴事業が大阪府の公衆浴場料金改定に伴うサービス料金の上昇で増収となったほか、介護予防支援事業も平均利用者数の増加で増収となった。

2. 2026年3月期は通期業績予想を修正。増収増益を見込む
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.6%増の30,800百万円、営業利益で同1.6%増の4,100百万円、経常利益で同2.9%増の4,350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同3.9%減の2,800百万円と11月21日に期初計画から上方修正した。足元の経営環境は堅調な状況にあり、特にポーラスマテリアルセグメントにおいては半導体をはじめとしたデジタル関連全体の市場拡大を受け、今後も良好な推移を続けると見込まれる。また、ファインケミカルセグメントの一般消費者向け販売ではガラスケア新製品の積極的な導入が進むことが見込まれ、サービスセグメント・不動産関連セグメントが堅調に推移することから当初の予想を上回ることを想定。利益面においては、基幹システム更新関連費用が当初の想定通りに発生するものの、ファインケミカルセグメントでのガラスケア製品の販売好調継続やポーラスマテリアルセグメントの産業分野を中心とした利益率の高い製品の販売好調が継続することで増益に寄与する想定である。

3. MBO及びTOBの結果について
現 代表取締役社長の田中秀明氏が代表取締役を務める堯アセットマネジメント(株)が株式非公開化を前提としたMBOを行うと2025年8月に発表した。MBOの理由として、カーケア用品のニーズの変化や求められる技術水準の高まり、環境・化学物質関連の法規制強化、エネルギー・原材料コストの上昇など不透明な事業環境が継続するなかで、中長期的な成長に向けた施策を積極的かつ機動的に実行するための経営体制の構築を挙げていた。公開買付期間は2025年8月7日より11月13日までで、1株2,465円(10月17日付で2,680円に変更)で買付予定数の下限を7,566,400株(所有割合35.04%)に設定した。これに対して、9月12日付でエフィッシモ キャピタル マネージメント(以下、ECM)が、1株当たり4,100円、買付予定数の下限を6,163,300株とする対抗TOBを発表した。公開買付期限である11月13日時点で、下限株数を上回る6,767,917株の応募があり、ECMがTOBの成立を発表した。一方、堯アセットマネジメントのMBOは下限買付予定数に達しなかったため不成立となった。今回のTOBにより、ECMの議決権所有割合は36.14%と筆頭株主となった。ECMが9月16日に提出した公開買付届出書によると、総株主の議決権3分の2以上とならなかった場合には、本公開買付価格と同一価格を買付等の価格として買付予定数の上限及び下限を設定しないTOBを再度実施することを検討しているとのことである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

<HN>

fisco

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。