パチンコ店の広告宣伝に厳しい目が向けられる(写真:イメージマート)
年末年始のホリデーシーズンは、パチンコホールにとってのかき入れ時。常連客はもちろんのこと、普段はあまり足を運ばないライトユーザーにも向けて、積極的な広告宣伝を行い、より多くの集客を狙うホールも多い。そんな年末年始を前に、パチンコホール関係4団体(全日遊連、日遊協、MIRAI、余暇進)が11月27日、広告宣伝ガイドラインに基づく是正勧告の対応強化を発表。健全な広告宣伝の実現に向けて、より厳しく取り締まっていくことになる背景にはどんな事情があるのだろうか。【前後編の前編】
かつてはルールを破るホールも多かった
パチンコホール集客において、広告宣伝の全国統一ルールとなる「広告宣伝ガイドライン」は、2023年2月にパチンコホール関係4団体(全日遊連、日遊協、MIRAI、余暇進)によって第1版が発出された。その後、2024年3月に第2版、2025年5月に第3版を制定し、より細かい形でホールの広告宣伝のルールを取り決めている。このガイドラインについて、パチンコ業界に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏が説明する。
「パチンコホールは風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の対象で、著しく射幸性を煽るような形での営業が規制されています。イベント開催時の広告宣伝や店舗内外でのポスター掲示などにおいても、過度な出玉サービスを想起させる内容はNG。しかし、そういったルールを破るホールが多かった時代もありました。たとえば“出血大サービス”という文言は射幸性を煽るものとして広告宣伝に使えないものですが、1990年代まではこういった言葉を使うケースも珍しくはありませんでした。
しかし、2011年の東日本大震災後、自粛ムードの中で、パチンコホールの広告宣伝が厳しく規制されるようになると、今度は集客のためのイベントの開催や告知ができなくなります。広告宣伝ができなくなれば、ホールとしても集客のための手段を奪われ、売上にも大きく響く。そんななかで、パチンコホール関係4団体が協力し、広告宣伝の健全化を図るべく、全国統一のルールとして作ったのが広告宣伝ガイドラインです。かつてのようにルールを破るホールが続出しないよう、かなり細かい部分までルールが決められています」(以下同)
このガイドラインでは、イベントの内容や告知の文言・表現、景品の入荷の告知、店内に掲示する“出玉ランキング”の内容、SNSでの宣伝など、多岐にわたる広告宣伝について、細かくルールが決められている。
