*11:35JST クロスキャット Research Memo(5):2026年3月期中間期は過去最高業績。SI・DX分野ともに業績拡大続く
■業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
クロスキャット<2307>の2026年3月期中間期の業績は、売上高で前年同期比2.3%増の8,223百万円、営業利益で同1.8%増の881百万円、経常利益で同1.7%増の914百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同14.1%増の665百万円となった。売上高・利益は過去最高を更新しており、成長トレンドが継続している。増収増益の主因は、主要事業の受注高増加による高い稼働率の維持と、賃上げやコスト高があるなかで原価率を前年同期並みに抑えたことである。また、投資有価証券売却益81百万円の計上が、中間純利益を押し上げる要因となった。
営業利益の観点から増減要因分析をすると、売上高増加に伴い43百万円の増益となった。一方、販管費の増加によるコスト増が11百万円となったが、原価率の改善等により1百万円分の増益となった。総じて、賃上げやインフレ等のコスト増はあるものの、売上高増加で十分に吸収できる範囲内に収まっている。また、不採算プロジェクトの増加から18百万円の利益下押し圧力があったが、こちらもコントロール可能な水準にとどまった。結果として、2026年3月期中間期は前年同期比に対して15百万円の営業増益となった。
2. 事業領域別動向
(1) SI分野
売上高は前年同期比1.8%増の7,072百万円、売上総利益は同2.4%増の1,704百万円となった。主要業種別売上高は、クレジット向けは、前年同期に大型案件の引渡があった反動により、同28.4%減の871百万円となった。金融向けは、銀行業務システムの保守サービス等が好調に推移し、同15.8%増の1,510百万円となった。官公庁・自治体・公共企業向けは、引き続き行政の推進するデジタル化に関連した受注が拡大し、同7.5%増の2,613百万円となった。
(2) DX分野
売上高は前年同期比5.1%増の1,151百万円、売上総利益は前年同期比2.2%減の255百万円となった。売上高は、勤怠管理クラウドサービスなど、自社開発システム関連の販売が堅調に推移し、データ利活用の需要拡大を背景としたクラウド関連サービスの受注が好調であった。一方、売上総利益については、クラウド関連サービスの事業拡大に向けた先行投資を行ったことで原価率が上昇し、小幅減益となった。
3. 財務状況と経営指標
2026年3月期中間期の財務状況を見ると、資産合計は前期末比1,267百万円減少の9,258百万円となった。流動資産は同1,316百万円減少し、6,844百万円となった。主な増減要因は、現金及び預金が222百万円増加し、売掛金及び契約資産が1,587百万円減少したことによる。固定資産は、同48百万円増加し、2,414百万円となった。
負債合計は前期末比1,425百万円減少の3,247百万円となった。流動負債は同1,469百万円減少し、2,231百万円となった。主に短期借入金が1,200百万円減少したことによる。固定負債は同44百万円増加し、1,016百万円となった。
純資産は、利益の積み上げから前期末比157百万円増加し、6,011百万円となった。現金及び預金は2,906百万円と積み上がり、今後の人材獲得・M&A・新規サービス開発といった成長投資拡大が期待される。
自己資本比率においては、前期末比9.3ポイント増加の64.9%と、高い水準を維持している。同社は足元ではキャッシュリッチの状態にあり、経営方針に掲げる戦略的経営投資(含むM&A)など成長に向けた財務上のバッファは十分にある。
■今後の見通し
2026年3月期は過去最高益を更新する見通し。人材確保のため人的資本投資に注力
2026年3月期の連結業績は、売上高について前期比5.6%増の17,100百万円、営業利益は同5.1%増の1,930百万円、経常利益は同4.8%増の1,990百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同2.5%増の1,350百万円と、いずれも過去最高を更新する予想である。
中間期時点での通期計画に対する進捗率は、売上高48.1%、営業利益45.6%、経常利益45.9%、親会社株主に帰属する中間純利益49.3%である。中間期は、顧客となる業界ごとに濃淡はあったものの、全体としては順調な進捗が確認できた。加えて、同社は、新卒者採用に伴う人件費負担の影響により、営業利益が下期に偏重する傾向がある。堅調なDX需要及び同社のプロジェクト管理や経営管理能力を踏まえると、計画達成の蓋然性は高いと考えられる。
企業のIT開発需要を背景に同社の業績は順調に拡大を続けているが、優秀な人材の確保が今後においても重要なテーマになる。同社はIT人材不足の状況下で人材獲得競争力を維持するため、毎年相応の水準で賃上げを実施している。一方、この賃上げコストは、価格転嫁及び増収のバランスを取りながら対応することで吸収されており、結果として原価率は過去と同水準並みに収れんしている。現段階では、価格転嫁と賃上げの両立が図られており、永続的な企業成長ができる状況が維持されている。加えて、社員エンゲージメント向上施策も積極的に実施しており、2026年3月期においては「社員が集い、つながり、広がる場」をコンセプトに、大会議室及びリフレッシュスペースをリニューアルし、働きやすさと創造性を両立する空間を整備するなど人的資本への投資にも注力している。
なお、顧客需要の拡大に対応するため、今後も従業員数を増やす方針である。同社は、特に新卒の育成を軸としており、全社員の約1割程度を目途に新卒を確保し、育成も順調のようだ。奨学金支援制度など新卒社員の支援制度が充実しており、人材確保に向けた特徴的な取り組みも積極的に実施している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 三浦健太郎)
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