孫正義氏(右)の長女であることを明かした川名麻耶氏(左写真/AiロボティクスHPより。右写真/EPA=時事)
〈実業家 孫正義の長女として誕生〉──。昨年末、山形県のバイオ繊維開発ベンチャー「スパイバー」のリリースに記載された一文が大きな話題を呼んだ。
同社と事業支援に関する契約を締結したとして紹介されたのは、ブランドコンサルティングを手がけるBOLDの代表・川名麻耶氏(44)だ。幼稚舎から大学まで慶応で学び、ゴールドマン・サックス証券に入社。2019年にブランドコンサルティング事業のBOLDを設立し、代表取締役CEOに就任した。2025年6月からAiロボティクスの社外取締役も務めている。
川名氏はソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏の娘という「本来的には不要」な出自を公表したことについて、「企業売却やIPOといった短期的なキャピタルゲインを前提とせず、世界のバイオベンチャーシーンを代表する企業として育て上げるための本質的な取り組みに集中できる立場であること、そして、そのための意思決定を迅速に行える環境にあることを、明確にお伝えするためです」とコメントした。
ジャーナリストの森岡英樹氏が語る。
「スパイバーは財務内容が悪化しており、幹部の退社も相次いでいた。新たな資金調達のためにさらなる増減資をするなか、あえて『孫正義の娘』を公表したのはプラスに働くからでしょう。AI関連投資で注目されるソフトバンクが最後に出てくるかもしれない可能性も含めて投資家に安心感を与え、大きなインパクトになったと思います」
これまで次世代の女性経営者としてメディアに登場することもあった川名氏だが、孫氏との関係を公表したことはなかった。一方、一部の財界・投資家の間では知られた存在だったという。
「以前から孫氏の後継にはゴールドマン・サックスに勤めていた優秀な娘さんがなるのではという話が漏れ聞こえていました。今回、“ポスト孫正義”として世界トップの投資銀行で培ったキャリアやノウハウを活かし、投資やM&Aなどを仕掛けていく──という市場に対するアピールでもあったのではないか」(森岡氏)
実業界のサラブレッドは、どんな活躍を見せてくれるだろうか。
※週刊ポスト2026年1月30日号
