突然の激しい痛みに襲われたら注意が必要(イメージ)
多くのビジネスマンが「よくあること」と軽視しがちな背中の痛みだが、急性腰痛症(ぎっくり腰)や椎間板ヘルニアといった整形外科疾患だけでなく、内臓疾患が疑われるケースもある。では、どのような疾患が考えられるのか。シリーズ「医心伝身プラス 名医からのアドバイス」、日本最大級の救急医療機関の総合診療科でさまざまな痛みを抱える患者と日々向き合う日本医科大学付属病院・高木元教授が解説する。【背中の痛みと病気の関係・後編】
尿路結石、大動脈解離、急性膵炎、帯状疱疹
若年者の救急搬送例で多いのが尿路結石です。尿路結石は、腎臓と膀胱をつなぐ尿管に、腎臓から落ちてきた石が詰まることで激痛が生じます。既往がある方は痛み止めの処置などで対応できますが、初めての場合は原因がわからず、凄まじい痛みに苦しみます。尿路結石が疑われる場合は、背中を軽く叩いた際の痛みの左右差や、尿検査での血尿が診断の手がかりになります。
50歳以上で高血圧の既往があり、突然の激しい背部痛(背中の痛み)を訴える場合は、大動脈解離の可能性があります。大動脈は内膜、中膜、外膜の3層構造になっていますが、内膜に亀裂が生じ、血液が壁の中に入り込んで血管が縦に裂ける病気です。背中から腰にかけて経験したことのない激痛が生じます。特に腹部大動脈解離では、肝臓や腎臓、腸管への血流が途絶え、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全、腸管壊死などの致死的な合併症を引き起こす恐れがあります。左右の血圧差や痛みの広がりを確認し、疑わしい場合はすぐにCT検査を受けますが、緊急手術になる場合もあります。
急性膵炎も背部痛の原因として頻度が高く、発熱や悪心を伴います。飲酒機会の多いシーズンに発症が増える傾向があります。また、近年増加している帯状疱疹にも注意が必要です。免疫力が低下した時に、子供の頃に罹った水ぼうそうウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が再活性化して神経に沿って痛みを起こすため、多くは体の片側に赤い発疹と痛みが出ます。皮疹が目立たない初期は見逃されやすく、後遺症(帯状疱疹後神経痛)が残ることもあるため、早期発見が重要です。現在は50歳以上を対象としたワクチン接種への補助制度を設けている自治体も増えています。
