*12:07JST イノベーション Research Memo(7):ITソリューションが大幅増収、オンラインメディアは構造改革を推進(1)
■イノベーション<3970>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業は、売上高で前年同期比6.9%減の2,631百万円、セグメント利益で同25.5%減の766百万円となった。
これは生成AIの普及により情報収集チャネルが多様化し、検索経由のトラフィックが減少したことが主要因である。この結果、「ITトレンド」の来訪者数は10,169,018人と前年同期比34.2%減となった。一方で、AI経由トラフィックが徐々に立ち上がってきている点はポジティブ材料である。掲載製品数は6,196製品と前年同期比72.9%増加しており、製品ラインナップの拡充を通じて資料請求数及び会員獲得の底支えとなっている。資料請求数は堅調に推移し、会員LTV向上施策へのシフトが進められていることから、「量から質への転換」を志向する構造改革が進行中である。来訪者数が減少するなかでも資料請求数が堅調に推移している背景には、1人当たりの請求数を高める施策がある。検索エンジン流入が減少する前提を基に、短期的には業績悪化を最小限に抑えることを優先している。具体的には、従来は自然流入に任せていた資料請求を、より能動的に誘導する仕組みへと転換している。Web上でのレコメンド機能の強化に加え、営業やMAを活用し、アウトコールなどによるフォローも実施している。また、動画メディアである「bizplay」における会員ユーザー数は堅調な伸びを維持している。
「ITトレンドEXPO」については、直近では2026年3月に開催した。同イベントはコロナ禍以前から展開しており、オンライン展示会分野では比較的早期に事業化した。立ち上げ当初は収益化に苦戦したものの、現在は運営ノウハウの蓄積により、開催ごとの収益力が向上している。掲載企業側においても、自社での集客難化を背景に顧客接点拡大へのニーズが高まっており、同社のプラットフォーム価値は相対的に向上している。出展形態の多様化などによりマネタイズ手法も高度化しており、AIが浸透する環境下においても持続的な成長が可能な領域であると弊社では考える。また、2026年3月開催分より資産形成・キャリア領域へテーマが拡大している。その背景には、IT製品以外の領域へ横展開を図ることで「ITトレンド」への単独依存から脱却するねらいがある。オンラインメディア事業の主要ユーザーであるビジネスパーソンの関心領域はITに限定されない。金融プラットフォーム事業での知見も活用し、資産形成やキャリア形成といった広範なビジネス関心領域へサービスを拡充していく。
オンラインメディア事業では、現在、検索流入に依存しないビジネスモデルへの転換を推進している。具体的には、従来の広告によるリード獲得型から、会員基盤・LTVを重視するモデルへの意向を明確にしている。検索エンジン依存からの脱却、すなわちデータプラットフォームへの移行に関しては、従来は検索エンジン経由のトラフィックをどう処理するかという技術領域が中心であったが、現在はAIを前提とした新たな技術領域が求められている。このため、エンジニアの確保や既存人材のリスキリングが大きなテーマとなっている。データベース自体の構築は技術的に可能であるが、実効性のあるデータを蓄積し、価値ある資産へと昇華させるには一定の期間を要する。同社では、この施策の効果発現までに1年から2年程度の時間軸を想定している。したがって、短期的には投資先行による収益減少を伴うものの、中長期的な収益基盤の安定化及び持続的な成長を実現するための戦略的転換点に位置付けられると弊社では分析する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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