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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】FIG:交通分野に強みを持つIoT企業、ロボット領域を次の成長ドライバーとしてPBR2倍目指す

*16:37JST FIG:交通分野に強みを持つIoT企業、ロボット領域を次の成長ドライバーとしてPBR2倍目指す
FIG<4392>は、業務用IP通信を中核とするIoTソリューションと、半導体・自動車関連装置やロボットなどを手掛けるマシーン事業の2本柱で展開する企業である。グループの中核会社であるモバイルクリエイトが交通・物流分野向けの動態管理や配車システム、IP無線などのIoTソリューションを提供する一方、REALIZEなどを通じて装置・ロボット関連事業を展開している。従来はIoTとマシーンの2セグメント体制であったが、今期からは「IoT・ペイメント」と「ロボット・オートメーション」に再編し、交通分野に強みを持つIoTビジネスを軸にしつつ、ロボット領域を新たな成長ドライバーとして育成する方針を示している。

同社は、単なる通信機器メーカーではなく、交通・物流といった移動体管理の分野でソリューションを提供するIoT企業である点だ。主力のIP無線システムでは、タクシー約27,700台、バス約17,400台、物流トラックなど約106,200台に導入されており、特にIP無線車載タイプではトップシェアを有する。また、タクシー配車システムやバスロケーションシステムなど、交通分野のDXに直結するサービスを展開しており、地方交通事業者を中心に顧客基盤を築いている。都市部では配車アプリの競争が激しいが、地方では配車センター型の運用が依然主流であり、同社のシステムはそのニーズに適合している。さらに同社タブレット端末ではDiDiやUber、S.RIDEなど外部とのドライバーアプリ連携も進んでおり、交通分野のプラットフォームとしての機能も強化している。

ロボット・オートメーションに関しては、走行ロボットのAGVやAMRを活用し、幅広く省人化ソリューションを展開している。AGV・AMRを制御するロボット管理システムが上位システムと連携することで、人とロボットがスムーズに協働して働くことのできる環境づくりを形成。サービスロボット「WILL」の開発・販売に加えて、純国産の搬送ロボットを手掛けるロボットベンチャーの株式会社匠と提携し、FA向け(工場や物流倉庫)をメインターゲットとして、GTP(棚搬送ロボット)を展開。GTP分野では、純国産メーカーとして国内No.1メーカーを目指している。また、商品力強化のため、上位システムであるWCS(倉庫制御システム)などの開発にも取り組んでいる。そのほか、産業用のドローンの開発・販売を行い、農薬散布ドローン、除草剤散布ボート、空撮ドローン、物資運搬ドローンなどの機体を取り扱っている。

競争優位の源泉は、交通分野に特化したIoTソリューションの蓄積にある。タクシーやバスの運行管理システムは導入後の運用変更が難しく、ハードウェア更新のタイミングを除き乗り換えが起きにくい傾向がある。こうしたスイッチングコストの高さは顧客維持につながっており、長期的な顧客関係の構築に寄与している。また、決済分野では交通領域に強みを持つペイメントサービスを展開しており、決済センターを自社で運営している点も特徴となる。競合としてはセイコーや日立などが挙げられるが、交通システムとの連携を含めたトータルソリューションとして提供できる点が差別化要因といえる。一方、ロボット分野では中国メーカーが市場シェアを拡大しているが、導入後の運用対応やアフターサポートへの不満も多く、同社は製造業の現場に合わせた運用設計やサポート体制を強みに差別化を図っている。総じて、ソフトウェア・ハードウェア・ネットワーク/クラウドを横断的に自社で開発・運用できる技術基盤と、現場実装を通じたワンストップ提供力が強みとなる。ソフトウェアとハードウェアを一体で設計・開発することで、用途や現場特性に最適化されたハードウェアを提供するとともに、ネットワーク/クラウド基盤により多様なサービスを安全かつ安定的に運用できる。

業績面では回復基調が続いている。2025年12月期の連結業績は売上高13,318百万円(前期比10.8%増)、営業利益834百万円(同129.3%増)で着地した。IoT事業では公共交通分野での導入拡大や自治体向け案件の増加が寄与したほか、モバイルクリエイトを中心に交通DX関連の需要が堅調に推移した。一方、ホテル向けマルチメディアシステムは、従来のVODサービス需要の減少により顧客基盤が縮小するなど苦戦が続いており、営業体制の見直しを進めている。マシーン事業では一部案件の受注時期が後ろ倒しとなり売上計上時期に影響が生じたものの、半導体・自動車関連装置の需要を背景に大幅な増収増益となった。受注の一部は今期以降の売上計上が見込まれている。今期2026年12月期の会社計画は、売上高14,000百万円(前期比5.1%増)、営業利益1,000百万円(同19.9%増)を見込んでいる。

同社を取り巻く市場環境は大きく変化している。交通分野では人手不足や地域公共交通の再編を背景にDX需要が拡大しており、タクシーやバスの運行効率化、決済のキャッシュレス化などが進んでいる。また、物流分野でも動態管理や車両管理のIoT化が進展しており、同社のIP無線や運行管理システムの需要は底堅い。一方、ロボット市場では中国企業が急速に存在感を高めているものの、導入後の運用やサポート体制に課題も多く、国内企業によるサービス品質の高さが差別化要因となる可能性がある。さらに将来的には自動運転タクシーの普及なども想定されるが、通信・運行管理・決済といった基盤システムの需要は引き続き残ると考えられる。

中期経営計画では2028年に売上高170億円、営業利益15億円、ROE10%を目標として掲げている。IoT事業では交通DXとペイメントサービスの拡大を成長ドライバーと位置付ける一方、ロボット・オートメーション領域を第2の柱として育成する方針だ。REALIZEとの連携を通じてロボット事業の拡大を進めており、製造業向け搬送ロボットやドローンなどの領域で事業機会を模索している。2028年のロボット関連売上目標は30億円を想定しており、空間理解を基盤に、環境変化に応じて判断・行動するフィジカルAI、自律型移動ロボット(AMR)を開発していく。また、ペイメントやロボットといった成長分野ではM&Aも視野に入れており、事業ポートフォリオの拡張を進めていく考えである。

株主還元については株主優待に加え、配当性向30%以上を基本方針として掲げており、株主還元を意識した資本政策を実施している。PBRは1倍程度で推移していることから、情報通信業セクターにおける成長企業の評価水準を意識し、「PBR2倍」を目標に市場評価の向上を目指すようで、交通DXを軸としたIoTビジネスの拡大と、ロボット事業の成長が中期的な企業価値向上の鍵となろう。

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