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【注目トピックス 日本株】クリレスHD Research Memo(7):2030年2月期までにM&Aを実施し、営業利益16,000百万円を目指す

*11:07JST クリレスHD Research Memo(7):2030年2月期までにM&Aを実施し、営業利益16,000百万円を目指す
■中期経営計画

1.中期経営計画の位置付け
クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の2025年4月に公表した5ヶ年の中期経営計画(2026年2月期〜2030年2月期)を推進している。同中計は、国内人口の減少、物価高、インバウンド需要の増加、人財不足、雇用の多様化、DXの進展など、外食業界を取り巻く環境が大きな構造変化を迎えるなか、本質的な課題解決のための5期と位置付けるとともに、「豊かな食体験の共創にチャレンジしつづけ、ステークホルダーから末永く選ばれるプロフェッショナルチーム」を目指す姿としている。

2. 中長期戦略の方向性
従来の重要戦略「マルチブランド・マルチロケーション×グループ連邦経営」をさらに進化及び深化させた「グループ連邦経営 2.0」の下、本質的価値の進化やシナジーのあるM&A、海外事業の拡大による「成長の3本柱」を通じて、ブランド・ブラッシュアップ(質)と展開エリアの拡充(量)の両立を図るとともに、海外M&A等を含めたポートフォリオの強化にも取り組む考えである。また、テクノロジーの活用、人的資本経営の推進、サステナビリティ推進を「成長を支える3基盤」として注力する。

(1) 「成長の3本柱」
1) 本質的価値の進化
「わくわくする食体験創造」に向けて、コアブランドを中心に商品・メニューの中身とサービスのあり方をブラッシュアップするとともに、立地のポートフォリオの強化にも取り組む。特に美味しさの追求や柔軟な適正価格化対応、人的リソースの最適配分、出店コストの抑制などにより本質的価値を追求するとともに、将来の成長の軸となる新業態の開発を加速する。また、ネクスト・ロケーションへの路面立地や地方都市立地の開発強化にも注力する。出店数は年30~40店前後、既存店売上高の伸びは103.0%を見込んでいる。

2) シナジーのあるM&A
外食M&Aの先駆者としての経験を生かし、積極的なM&Aを実行する。国内においては既存事業とのシナジーを重視する一方で、海外においては、北米とアジアのポートフォリオ強化並びに欧州への進出も視野に入れている。5年間のM&A投資枠として500億円を設定しており、年間2件前後のM&Aを想定している。

3) 海外事業の拡大
M&Aを中心に海外事業展開を加速する方針である。海外M&Aの基本方針は、日本食にこだわらず、現地顧客に支持される「日常・定番・地域密着」のブランドを主なターゲットとして、経営の現地化を前提に事業拡大を図ることである。エリア別では、北米をさらにM&Aで拡大するほか、アジアについては直営、FC、M&Aのハイブリッドで伸ばす。また、新たなエリアとして欧州でのM&Aも検討中のようだ。2030年の海外売上比率を現在の15%から30%へ引き上げる計画である。

(2) 「成長を支える3基盤」
1) テクノロジーの活用
これまでは店舗オペレーションの省人化を目的としてきたが、今後はブランド別DX最適化を基本として、DXとAIによる顧客接点革新(ホスピタリティの向上)と業務革新(予測精度の向上や定型業務の効率化)の両にらみで活用を図る。その結果、顧客満足度を高めるとともに「人時キャッシュ・フロー」※の向上にも結び付けていく。5期で20億円の投資を計画している。

※ 1人当たり/時間当たりのキャッシュ・フロー。店舗の人的リソースの最適配分を図る指標として活用していく。

2) 人的資本経営の推進
「人財こそ最大の財産」という考えの下、働きがいのある職場づくりを行う。特に、「安心」と「活躍」の両面から様々な施策を進めるほか、時代に合った企業風土の変革にも取り組む。

3) サステナビリティ推進
グループのマテリアリティとして、「食の安全安心」「産地との共存共栄」「脱炭素社会への貢献」「食品ロスの削減」「多様な人財の活躍促進」を掲げ、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、長期的な企業価値向上につなげる考えだ。

(3) 数値計画
数値計画については、未確定のM&Aを含まない3期分の数値計画とM&Aを含んだ最終年度の目標を公表しているが、初年度が経過した時点で最終年度の目標に変更はない※1。2030年2月期の目標としてM&Aの実施も含めて、売上収益230,000百万円(平均成長率8.6%)、営業利益16,000百万円(営業利益率7.0%)としている。一方、未確定のM&Aを含まない3期分の数値計画については、M&Aの実施や環境変化等を踏まえ若干修正※2するとともに、新たに2029年2月期の計画※3を追加公表した。

※1 M&Aはタイミングや規模などにバラツキが出る可能性が高いため、年度ごとの計画には織り込まず、最終年度のイメージにすべてを寄せていることが理由である。
※2 2028年2月期の計画は、売上収益178,000百万円は変更なし、営業利益は12,000百万円から10,000百万円(営業利益率は6.7%から5.6%)へ修正。
※3 2029年2月期の計画は、売上収益185,000百万円、営業利益12,000百万円(営業利益率6.5%)。

(4) キャッシュアロケーションと投資効果
中期経営計画期間中の累計キャッシュ・イン(原資)として調整後EBITDA1,470億円、借入500億円、待機資金30億円、合計2,000億円を見込む一方、主なキャッシュ・アウト(資金配分)はM&Aに500億円、設備投資に200億円※1、株主還元に120億円、借入返済に400億円を計画している。また、自己資本比率は30%以上を確保することで一定の財務規律を維持する。資本効率を示す調整後ROIC※2は25%を維持し、加重平均資本コストである税前WACC※3を大きく上回るリターンを確保する方針である。

※1 新規出店(年30~40店前後)130億円、業態変更・改装・修繕50億円、テクノロジー(DX・AI等)20億円。
※2 調整後ROIC=調整後EBITDA÷株主資本及び有利子負債の期初・期末の平均。2026年2月期の調整後ROICは24.3%(前期は24.7%)と公表している。
※3 税前WACC=(株主資本コスト÷(1−実効税率))×株主資本比率+(負債コスト×負債比率)にて計算。2026年2月期の税前WACCは8.5%(前期は12.4%)に低下した(同社公表値)。

3. 弊社の注目点
外部環境が構造的に変化するなか、ホスピタリティの原点に立ち返り本質的価値を追求しつつ、新たな価値創造への変革に挑戦する同社の方向性は、戦略的な整合性が高いと評価される。「グループ連邦経営2.0」を通じて、各社の個性を生かした「遠心力」の発揮とグループ間の「融合」をいかに両立させるかが、新たな価値創出のカギとなる。

また、人手不足対策をはじめ、ホスピタリティ向上に向けたDX推進や人的資本投資の最適化に向けた取り組みも重要である。同社は「人時キャッシュ・フロー」の導入等によりその効果を測定する方針だが、これらの施策が業績や財務へどのように寄与するかが、今後の成長性を占ううえでの重要な判断材料となる。再成長フェーズにある同社が、いかに変革を主導し優位性を確立していくのか、新たな経営モデルの具現化が待たれる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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