*17:35JST 旭情報サービス:企業のIT投資拡大を背景に安定成長、DX・AI関連需要が成長ドライバーに
旭情報サービス<9799>は、ネットワーク構築・運用管理やシステム開発などを手掛ける独立系ITサービス企業だ。主力はSES(システムエンジニアリングサービス、技術者を顧客先へ常駐させるサービス)であり、顧客企業に技術者を派遣し、ITインフラや業務システムの構築・運用を支援している。創業から65期を迎える老舗企業であり、長年培った顧客基盤と信頼関係が強みだ。主要取引先にはトヨタシステムズをはじめとして、自動車関連、金融・保険、通信分野など大手企業が並ぶ。事業はネットワークサービス、システム開発、システム運用で構成されており、なかでもネットワークサービスが売上高の大半を占める収益の柱となっている。顧客業種が幅広く、多様な案件に対応できる技術力とノウハウを持つ点が特徴だ。
2026年3月期の連結業績は、売上高165億円(前期比4.6%増)、営業利益16億円(同3.8%増)となり、16期連続の増収増益を達成した。業績をけん引したのは主力のネットワークサービス事業だ。特に自動車関連や金融・保険分野での受注拡大が寄与した。自動車製造関連の需要が堅調に推移しており、企業のDX投資やシステム刷新需要の増加を取り込んだ形だ。ネットワークサービスの売上高は139億円(前期比5.8%増)まで拡大した。一方、システム開発事業は、DX関連や業務系アプリケーション案件を獲得したものの、一部案件が開発工程から運用工程へ移行した影響で売上高22億円(同0.2%減)と横ばい圏だった。システム運用事業は、汎用系システムの市場縮小や価格下落が続き、売上高2億円(同9.8%減)となったが、同社はネットワーク系技術へのシフトを継続して進めている。
利益面では、人的資本投資が利益率の上昇を抑える要因となった。技術者確保に向けた採用強化や賃上げ、教育投資、オフィス環境整備などを積極的に実施しているためだ。ただし、契約単価の改善や案件獲得によって増益を維持しており、収益基盤の安定性が確認できる。特に近年は単価改善が進み、人件費上昇分を一定程度価格転嫁できる環境になっていることがプラス材料だ。
2027年3月期会社計画は、売上高175億円(前期比5.8%増)、営業利益17億円(同6.3%増)を見込む。引き続き増収増益を計画しており、主因は売上拡大と単価改善だ。足元では自動車関連需要に大きな減速感はみられておらず、企業のDX投資も継続している。加えて、老朽化した既存システムからの移行需要やクラウド関連投資、セキュリティ対策需要なども追い風となっている。近年は生成AI関連の案件引き合いも増えており、AIを活用できるIT人材の育成を強化している。国内ではAI活用が海外対比でまだ遅れているとの認識を示しており、今後はAI対応人材への需要拡大が期待される。
市場環境は総じて同社に追い風だ。情報サービス産業では、人手不足解消や業務効率化を目的としたIT投資が拡大している。特にAI、クラウド、RPA、セキュリティ対策などの分野は需要が強い。また、金融・保険、公共、自動車など同社が強みを持つ業界は比較的IT投資が安定しており、継続案件を積み上げやすい特徴がある。一方でリスク要因としては、主要顧客である自動車業界の景気悪化や、AI進展による業務構造変化が挙げられる。ただし、AIが普及するほど現場でAIを扱える技術者需要も高まるため、同社にとっては脅威と同時に成長機会にもなり得る。
中期経営計画では、2028年3月期に売上高196億円、営業利益19億円を目標としている。さらに長期では2035年3月期に売上高500億円を掲げる。既存事業の拡大だけでなく、M&Aや新規分野開拓を視野に入れている点が特徴だ。これまで大型M&Aの実績はないものの、現預金や営業キャッシュフローを活用し、親和性の高いIT関連事業への投資を模索している。加えて、今後はIT活用によって業績改善余地の大きい業界への展開も狙う方針だ。
株主還元にも積極的だ。配当性向40%以上を目安としており、2026年3月期は年間34円配当、2027年3月期も34円配当を予定している。足元株価ベースの予想配当利回りは3.5%前後と高水準であり、安定配当銘柄としての魅力がある。自己資本比率は約80%と高く、財務基盤も非常に安定している点は評価材料だ。
総じて同社は、安定した顧客基盤を持つ独立系ITサービス企業として、DXやAI需要を取り込みながら着実な成長を続けている。足元では自動車関連や金融分野が業績を支え、中長期ではAI人材育成やM&A戦略が成長余地につながる可能性がある。高い財務健全性と3%超の配当利回りも含め、中長期で安定成長を期待しやすい銘柄といえそうだ。
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