*12:05JST 矢作建 Research Memo(5):受注高、次期繰越高ともに過去最高を更新
■矢作建設工業<1870>の業績動向
3. 受注状況
同社が所属する建設業界では、特に建築分野では物流施設・工場・オフィスなどで底堅い需要がある。土木分野においても、国土強靭化計画に関連する公共工事が各地で進展しており、堅調な受注環境が継続している。
(1) 受注高
2026年3月期の受注高は160,194百万円(前期比9.6%増)となり、過去最高を更新した。建築事業の受注高は105,850百万円(同2.8%増)となった。このうち一般建築工事は65,179百万円(同25.8%減)となったものの、マンション工事が40,670百万円(同168.5%増)と大幅に増加し、建築事業全体の伸長に寄与した。マンション工事は比較的採算が高く、全体のバランスを考慮しながら戦略的に受注を積み上げたことが背景にある。
土木事業の受注高は54,343百万円(同25.8%増)となった。民間工事が28,284百万円(同9.3%増)に伸び、官庁工事は26,059百万円(同50.7%増)へと大きく伸長した。この結果、土木事業における官庁工事の構成比は48.0%となり、官民の受注構成のバランス改善が進んだ。
なお、受注から工事完成までの期間は、プロジェクトの規模などにより異なるが、建築案件で1~3年程度、土木案件は2~3年程度となっており、手持ち工事の進捗状況や施工キャパシティを踏まえて受注高は調整されるため、年度ごとに内訳や金額が変動する。2026年3月期は、期中に大型案件の完工が相次いだことから、翌期以降の施工キャパシティを確保するための営業活動を積極的に推進した。
(2) 次期繰越高
次期繰越高は174,023百万円(前期比6.1%増)となり、過去最高を更新した。事業別では、建築事業が113,153百万円(同5.4%減)となった一方、土木事業は60,869百万円(同37.3%増)となり、土木事業の伸長が全体をけん引した。建築事業の減少は前期に大型工事の完工が集中した反動によるものであるが、引き続き高水準を維持している。次期繰越高は将来の売上高につながる重要な先行指標であり、同社も重視している。豊富な繰越高を確保していることから、今後の業績に対する一定の下支え要因になると考えられる。
有利子負債は大幅に圧縮、資産効率及び資本効率ともに改善
4. 財務状況と経営指標
2026年3月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比3,442百万円増加の147,662百万円となった。販売用不動産及び有形固定資産が減少した一方、大型工事の進捗に伴い完成工事未収入金が大幅に増加したことが主な要因である。負債合計は前期末比3,732百万円減少し、71,652百万円となった。未払法人税等が増加した一方、工事末払金及び有利子負債が減少した。有利子負債は前期末比7,800百万円減と大幅に圧縮された。純資産は、利益剰余金の積み上がりを主因として、前期末比7,174百万円増加の76,010百万円となった。
収益性指標ではROAが9.4%(前期比3.0ポイント上昇)、ROEが11.7%(同3.4ポイント上昇)となり、資産効率及び資本効率ともに改善した。安全性指標では、自己資本比率は51.5%(同3.8ポイント上昇)、D/Eレシオは0.41倍(同0.16低下)となり、財務健全性は一段と向上した。
5. キャッシュ・フローの状況
2026年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは9,849百万円の収入となった。主な収入は税金等調整前当期純利益12,045百万円と減価償却費924百万円であり、主な支出は売上債権の増加8,372百万円と仕入債務の減少1,500百万円であった。投資活動によるキャッシュ・フローは1,921百万円の収入となった。有形固定資産の売却収入2,967百万円が主な収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは11,160百万円の支出となった。長短借入金の減少7,800百万円と配当金支払3,689百万円が主な支出となった。この結果、2026年3月期末の現金及び現金同等物は、前期末比611百万円増加し、残高は16,230百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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