*12:37JST ダイコク電 Research Memo(7):スマート遊技機の市場導入により、市場は活性化の兆し
■ダイコク電機<6430>の業界環境
過去10年の業界環境を整理すると、パチンコホール業界は遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いた。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ機の両方で実施されると、2016年には「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」の回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われた。さらに2017年9月に「新規則」が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感が広がり、しばらく混沌とした状況が続いた。2020年に入ってからはコロナ禍の影響(ホール休業や時短営業等)も重なり、厳しい環境に拍車をかけた。ただ、2022年11月からスマート遊技機の段階的な導入が開始されると、ファンの支持を得たスマートパチスロ機を中心に入れ替えが進み、遊技機市場やパチンコホール業界は新たな時代に入った。
警察庁「風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について」によれば、パチンコホール数は年々減少傾向にあり、2015年から2025年の10年間で年平均5.7%減となっている。2025年12月末のパチンコホール数も6,464店舗(前年同月末比242店舗減)に減少したが、同社のホールコンピュータ顧客数のシェアは40.3%と高い水準を維持している。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きい※。したがって比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れた顧客基盤と言える。スマート遊技機による新たな時代を迎え、大型店舗を中心に投資意欲が戻りつつあり、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。
※ 大型店舗(501~1,000台)のシェアは約60%、超大型店舗(1,001台以上)のシェアは約80%と大型店舗になるほど高いシェアを誇っている。
遊技機の市場設置台数については減少傾向※で推移しているものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されている。既述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
※ ただし、パチスロ機に限定すれば、2024年に8年ぶりに増加に転じている。
さらに直近の動きとして、店舗数が減少するなかでも市場全体の売上規模及び売上総利益の規模が2023年にプラスに転じたことがある。前年比5%以上の上昇は11年ぶりとなる。2024年以降も売上規模、売上総利益ともに高い水準で推移している。これはスマートパチスロ機による効果であり、斜陽産業化のイメージを払拭するとともに、スマート遊技機を中心に業界が転換期を迎えていることを示すデータと言える。
■過去の業績推移
スマート遊技機による業績回復・拡大を機に、持続的な成長基盤を確立
過去の業績を振り返ると、個人消費の冷え込みと東日本大震災の影響が重なった2011年3月期に業績の落ち込みがあったが、その後はパチンコホール業界が縮小傾向にあるなかでも、同社の業績は順調に回復した。特に高い市場シェアを持つ情報システム事業は、2015年3月期まで順調に売上高を伸ばし、業績を支えてきた。ただ、2016年3月期以降は、業界におけるマイナス材料(自主規制や「回収・撤去」問題の影響、「新規則」に伴う先行き不透明感など)に加え、2020年に入ってからのコロナ禍の影響等も重なり、売上高は低調に推移した。ところが、2023年3月期はコロナ禍からの回復に加え、2022年11月より市場導入されたスマートパチスロ機により市場環境は一変し、それに伴って同社の業績も情報システム事業を軸に回復・拡大している。2025年3月期の情報システム事業は、スマート遊技機の導入と改刷対応需要が重なり過去最高売上高を2年連続で更新した。2026年3月期は改刷対応特需の反動により後退したが、実態としては高い業績水準を維持している。
利益面では情報システム事業が収益源となっており、高い利益率を維持してきた。2014年3月期から2016年3月期までは次世代製品群向けの研究開発費の増加等により利益率は低下した。2018年3月期から2022年3月期までの期間は、これらの研究開発費が一巡したものの、売上高の低迷等により利益率も過去の高い水準に戻ることはなかった。もっとも2023年3月期は売上高の回復や高付加価値製品の販売増により、情報システム事業の利益率は大きく改善した。また、MGサービスの伸長などストック型ビジネスモデルへの転換は着実に進んでおり、その点も収益の下支え要因となっている。2024年3月期以降の情報システム事業は改刷対応等の特需もプラスに働いたが、2026年3月期はそのはく落により利益率も落ち着く動きを見せた。
財務面では、財務基盤の安定性を示す自己資本比率が、内部留保の積み上げ等により上昇傾向で推移してきた。2024年3月期は売上高の急拡大により売掛金等の資産が増加し若干低下したものの68.7%の高水準を確保し、2025年3月期は前期比10.4ポイント上昇の79.1%となった。また、短期の支払能力を示す流動比率についても、潤沢な現金及び預金を中心に高水準を確保しており、盤石な財務基盤は今後の成長に向けた原動力としても強みと言える。一方、資本効率性を示すROEは2015年3月期以降、低調に推移してきた。いずれも最終損益の落ち込みによるものであり、2015年3月期は取引先メーカーの自己破産に伴う損失、2016年3月期は自主規制の影響に伴う専用部材(パチスロ機関連)の評価替えに伴う損失が原因である。ただ、利益の回復とともにROEも大きく改善し、2024年3月期以降は特需による影響も重なり2年連続で高水準を確保した。2026年3月期はその反動による影響を受けたが、12%を超える水準を維持した。
■株主還元
2027年3月期の年間配当も前期と同額の100円を予定
配当については、事業環境や収益の状況、配当性向等を総合的に考慮し、安定配当を行うことを基本方針としながらも、業績に応じた利益還元を実施する考えである。また、中期経営計画期間(2026年3月期~2028年3月期)の下限配当金を年間80円から100円に引き上げた。
2026年3月期の年間配当については、期初予想から20円増額修正し、1株当たり100円(中間30円、期末70円)を実施した。2027年3月期も1株当たり100円(中間40円、期末60円)を予定している。また、株主優待制度については、毎年9月末時点の株主に対し、保有株式数及び継続保有期間に応じて「デジタルギフト」※を贈呈する内容となっている。
※ 株主の利便性を考慮し、従来の「QUOカード」から変更した(当面は選択制)。「デジタルギフト」とはデジタルプラス<3691>が提供するもので、Amazonギフトカード、PayPayマネーライト、楽天ポイント、dポイント、au PAYギフトカード、nanacoギフト等に交換できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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