*12:09JST 城南進研 Research Memo(9):2029年3月期に売上高63億円、営業利益率10%を目指す中計を始動(2)
■城南進学研究社<4720>の今後の見通し
(2) 重点戦略
a) 日本が抱える社会課題解決への挑戦
日本が抱える社会課題のうち、教育分野においては「理系人材の深刻な不足」と「不登校生徒の増大」が課題として挙げられており、同社では「りんご塾」「デキタス」「Gakken高等学院」を拡大していくことで課題解決に貢献する考えだ。現時点での収益貢献は限定的だが、社会課題の解決と収益成長の両立が期待される事業として位置付け、中長期的な収益拡大を見込んで取り組んでいく。
「理系人材の深刻な不足」については、政府方針として、IT・AI、ロボットなどの国際競争力を高めるべく理系人材の育成を打ち出しているが、それでも2040年における理系人材は100万人不足すると言われている。こうしたなか、同社は「りんご塾」で幼児期から算数への興味関心を持たせ、算数的思考力を養成することで理系志望の学生を増やしていく考えだ。
「りんご塾」は算数オリンピックを目指す数少ない算数教室で、オリジナルカリキュラムにより学習指導要領にうたわれる「思考力」も鍛えられるため、算数教室のなかで圧倒的ブランド力を有している。同社では「城南コベッツ」での併設を進めるほか、アライアンス先の拡大により加盟教室数を現在の約310教室から、2028年に600教室への拡大を目標としている。
一方、「不登校生徒の増大」についても年々増加傾向が続いており、社会問題化している。文部科学省の調べによれば、小・中学校の不登校生徒数は2024年度で35.3万人、不登校生徒の比率で3.9%とそれぞれ2019年度と比較して約2倍の水準にまで拡大した。また、高校生についても通信制を選択する学生が年々増加しており、2025年度で30.5万人と全高校生の10%弱を占めるまでになった。
こうした社会課題に対応すべく、小・中学校の不登校生徒向けには学習支援ツールとして「デキタス」の導入を地方自治体の教育委員会(公立学校)や学校法人向けに推進しており、導入済みの学校では不登校生徒の学力向上や学習意欲の改善といった効果が確認されている。累計の発行アカウント数は「みんなのまなびライブラリー」経由も含めて、2026年3月時点で約5万IDとなっているが、2029年3月期までの3年間で不登校生徒数の約1割となる3万IDの獲得を目指す。
通信制高校の需要が拡大している高校生向けには、2025年4月より開始した通信制連携校「Gakken高等学院※」を城南コベッツ教室に併設する格好で展開しており、2026年4月に2校目となる蒲田キャンパスを開校した。2027年4月には新百合ヶ丘キャンパスを開校し、2028年度までに東京都・神奈川県内で5キャンパス体制とする予定だ。
※ クラーク記念国際高等学校の通信制連携校で、資本業務提携先の学研ホールディングス<9470>が展開している。
b) 保育園事業の成長
学習塾に続く第2の収益の柱として、保育園事業の拡大に注力していく。既述のとおり2026年5月末に1件のM&Aを実施しており、今後も需要が見込める首都圏や大都市を対象にM&Aで事業規模を拡大する戦略だ。吉祥の子会社化によりグループの運営数は27園となったが、今後3年間で40〜60園を目指す。2026年3月期の保育園事業の売上規模は11億円前後と見られ、計画どおりに進めば20〜30億円規模への拡大が見込まれる。同社は脳科学に基づいた育脳プログラム「くぼた式育児法」をグループ全園で導入済みで、0歳児募集において圧倒的な強みを発揮し、高い定員充足率により全園で黒字経営を維持する要因ともなっている。出生数の減少により、保育園業界は再編・淘汰の時代に移行しつつあるが、同社はサービス面での優位性を生かして、今後もM&A戦略で事業を拡大する可能性は高いと弊社では見ている。
また、「くぼた式育児法」についてはソリューションビジネスにも取り組んでいる。現在の導入園数は88園(自社グループ含む)だが、2027年3月末で120園、2029年3月末で200園への導入を目指しており、現在、大手事業者向けに営業活動を推進中である。
c) 学習塾事業の深化
学習塾事業については、差別化推進により再成長を目指す。少子化が進むなかで、生徒獲得競争が激化しているのは学習塾だけでなく大学も同様で、ここ数年は「総合型・学校推薦型選抜入試」の実施により早期に生徒を確保する動きが私立大学だけでなく、国立大学でも進み始めている。一方で、難関大学では「一般選抜入試」が一定割合で残るため、学習塾としてはそれぞれのニーズに対応した教育サービスの提供が重要となる。
同社は「総合型・学校推薦型選抜入試」を志望する生徒に対しては、城南コベッツにて「推薦ラボ」を提供することで差別化を図る。現在、城南コベッツのFC教室のうち「推薦ラボ」を導入している教室数は約半数となっているが、「推薦ラボ」を高校生向けの主力教材とすることで導入率8割以上を目指す(直営教室は全教室導入へ)。一方、難関大学を中心とした一般選抜入試を志望する生徒には、河合塾マナビスで対応していく。
また、城南コベッツについては従来の補習型個別指導塾から、補習型+合格実績=「多様な学び」に対応する個別指導塾へと進化することで再成長を目指す。高校生向けには「推薦ラボ」、中学生向けには「デキタス」、小学生向けには「りんご塾」とそれぞれ差別化が可能な教育コンテンツを提供し、継続率・退塾率を改善することで在籍生徒数並びにFC教室数の拡大(2028年に222教室を目標)を目指す。直営教室についてはモデル教室として位置付け、現状の教室数を維持する方針だ。
(3) 人的資本戦略
人的資本戦略として、採用面では同社グループの学生アルバイト組織「iconet(アイコネット)」からの新卒採用を推進するほか、女性・外国人の積極採用、中途採用者・女性の管理職登用、障がい者雇用や高齢者再雇用など、多様性に富んだ採用・配置を推進する(2026年春の新卒採用は未実施)。
また、育成面では部門を横断した階層別研修をアップデートし、ビジョンを実現する人財の育成を推進する。具体的には、役職者及び役職候補者対象の経営者・リーダーシップ研修や入社3年目社員を対象とした研修(スキルアップと離職防止)に加えて、サクセッションマネジメント※を実践していく。
※ 次期経営陣や主要事業のリーダーシップを引き継ぐに相応しい人材の選出や育成などに関する戦略的プロセスのこと。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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