お葬式にワンピース「のみ」はフォーマル度が低い?(イメージ)
今年も酷暑が襲ってきた。夏場の葬式に参列して、汗だくになった経験のある人は多いだろう。夏の暑さが年々厳しくなるなか、都庁がハーフパンツの着用を認めたように、オフィスでは軽装が認められつつある。一方でフォーマルな場であるお葬式では、どこまで「軽装」が許されるのか。近年における葬式参列のドレスコードや、葬式での暑さを乗り切る方法を、葬儀業界歴約30年、1級葬祭ディレクターの赤城啓昭氏が解説する。【前後編の前編】
「ワンピースを着ていけばOK」の情報を鵜呑みに
商社の秘書課に在籍する女性・市原さん(仮名・24歳/東京都)は、7月のある日、3日後に行われる取引先の社葬に参列するよう上司から指示を受けました。市原さんはまだフォーマルウェアを持っていなかったので、あわてて探し始めます。
インターネットやマナー本を調べると、女性の場合、「アンサンブル(ワンピースと長袖ジャケットの組み合わせ)にすべし」という記述や、「ワンピースを着ていけばOK」という情報が見つかりました。その他、「極力肌の露出は避ける」「透け素材は避ける」などさまざまな情報を見た市原さんは、大事なのは「黒」の「ワンピース」なのだと自己判断を下します。
天気予報によると当日は35℃を超えそうです。市原さんが暑苦しそうなジャケットなんて着ていられないと思ったのも、無理はありません。市原さんはスーツ量販店に行くと、軽い素材の黒い長袖ワンピースを購入しました。飾り気がなく、丈はふくらはぎの中ほどまでというシンプルな形です。
当日式場に到着した市原さんに、秘書課の先輩が歩み寄ってきました。
「市原さん、ジャケットは?」
「え?」
「こういう場ではジャケットを着ないとちょっと常識が疑われちゃうなあ……」
そんなアドバイスは聞いていないと思った市原さんでしたが、周りを見てみると、成人女性の1割はパンツスーツで、残りの9割はアンサンブル姿でしたが、全員何かしらのジャケットを羽織っています。市原さんは葬式が終わるまで居心地の悪さを感じながら過ごしました。
