*12:17JST rakumo Research Memo(7):2026年12月期は価格改定効果等により好調、通期予想達成の見込み(1)
■今後の見通し
1. 2026年12月期の業績見通し
rakumo<4060>の2026年12月期の連結業績は、売上高が前期比27.3%増の2,330百万円、調整後EBITAが同31.5%増の770百万円、営業利益が同28.5%増の550百万円、経常利益が同26.1%増の540百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.8%増の318百万円と高成長が続く見通しである。
サービス別売上高については、中間期から集計方法を変更した。新たな区分では、rakumoサービスは価格改定効果、「rakumo for Microsoft 365」の拡販、自治体案件の獲得などにより1,657百万円、その他サービスは子会社業績の通期寄与や事業シナジー、「aloop」の拡販などにより673百万円を見込む。区分変更による組み替えであり、売上高全体の予想に変更はない。
費用面について、売上原価は前期比24.6%増の674百万円を見込んでいる。内訳を見ると、人件費は人員増やベースアップ、子会社分の通期寄与により同50百万円増、Google向けサーバー費用は利用量の増加や為替影響などにより同49百万円増となる。販管費は同28.2%増の1,104百万円を見込んでいる。人件費は同120百万円増、のれん償却費等は同66百万円増、販売促進費及び広告宣伝費は同26百万円増となる見通しである。
中間期の通期予想に対する進捗率は売上高が47.1%、調整後EBITAが48.6%、営業利益が47.4%となった。ストック型の収益構造により下期ほど売上高と利益が積み上がるため、計画達成に向けて順調な水準と言える。価格改定によるMRR(Monthly Recurring Revenueの略で、月次経常収益のこと)の増加額は6月末時点で15百万円と計画を25%上回り、解約率も0.71%にとどまった。「rakumo for Microsoft 365」は158百万円の商談パイプラインを確保し、自治体向けも複数の大型案件で内示を得ている。主力SaaSでは単価上昇と顧客基盤の拡大が着実に進んでおり、通期予想の達成が見込まれる。
2. 業界特化型マーケティング施策の進捗
同社は、教育機関・自治体・建設業・医療など業界セグメントに特化したマーケティング施策による、効率的なクライアント獲得を進めている。具体的には、Google Workspace導入企業のデータベースを活用したピンポイントでのクライアント開拓、自治体向けホワイトペーパーの展開、建設業向けセミナーの開催、各業界セグメントに強い代理店との連携などを実施している。特に自治体分野での進展が顕著である。2025年12月期末の自治体向けライセンス数は前期末比34,959ID増の79,179IDと急拡大した。公共分野におけるクラウド活用の広がりや、自治体内の情報共有・申請承認業務の効率化ニーズを取り込んだ成果である。商談数も前期比48件増の62件と大幅に増加し、パイプラインは着実に積み上がっている。初の都道府県庁案件として秋田県庁から受注を獲得するなど、1件当たりの規模拡大も進んでいる。都道府県レベルでの導入実績は他自治体への波及効果が見込まれ、ブランド力向上にも寄与するだろう。自治体案件は民間企業と比べて意思決定プロセスが長く、リードタイムも長期化しやすい傾向がある一方で、1件当たりのライセンス数は大きく、導入後の継続率も安定的である。2026年6月末の自治体向けライセンス数は79,227IDであるが、前年から進めてきた複数の大型案件で内示を獲得しており、2026年12月期末には16万IDと、前年末の約2倍へ拡大する見込みである。中間期末の商談数も50件となり、2025年通期実績62件の80%に達した。同社は2026年の自治体向け受注ライセンス数が過去最大になると見込んでおり、案件創出から受注への転換が本格化している。業界特化型のアプローチは、単なる新規開拓にとどまらず、顧客単価の向上と解約率の低減にも寄与する戦略である。自治体分野で確立した営業モデルや導入実績は他業界への横展開が可能であり、中長期的な成長ドライバーとして期待される。
3. Microsoft版「rakumo」の進捗と注力施策
同社は、主力グループウェア「rakumo」の対応プラットフォーム拡大を成長戦略の1つとして掲げている。従来はGoogle Workspace向けサービスを中心に展開してきたが、2025年9月にMicrosoft 365対応の「rakumoカレンダー」及び「rakumoコンタクト」を、2026年2月に「rakumo ボード」の提供を開始し、顧客基盤の拡張に着手した。国内では日本マイクロソフト(株)が展開するMicrosoft 365の導入企業が大企業から中堅・中小企業まで広がっており、同領域への本格参入は中長期的な成長余地の拡大につながる施策である。
「rakumo for Microsoft 365」の2026年6月までの営業実績は、パイプラインが46社、商談金額が合計158百万円、受注が11社、販売ライセンス数が2,542IDとなった。2025年9月から12月までの受注2社、464IDから大きく伸長しており、上期にパイプラインを着実に受注へ転換した。「rakumo for Google Workspace」と比べて1社当たりのライセンス数と販売単価が大きくなる傾向も確認されており、顧客層の拡張に加えて案件単価の上昇も見込まれる。
販売体制の強化も進展している。2026年2月には、USEN Smart Works及びソフトバンクとの間で「rakumo for Microsoft 365」の再販契約を締結した。両社は法人向けにMicrosoft 365の導入支援や運用サポートを手掛けており、同社サービスとの親和性は高い。既存のrakumo販売パートナーとの再販契約も順次進めており、チャネル拡充による案件創出力の向上が見込まれる。
2026年12月期下期は、Microsoft 365利用企業が来場する展示会への出展、新規販売パートナーの開拓、ウェビナー、インターネット広告、アウトバウンド営業を強化する。2026年12月期第4四半期には「rakumoワークフロー for Microsoft 365」の提供開始を予定しており、下期にはBasicパックの販売も始める方針である。製品ラインアップの拡充と販促投資を組み合わせ、KPIと業績への寄与を高める考えである。
2026年8月にはAvePoint Japanとの相互紹介契約を締結し、Google Workspace及びMicrosoft 365の導入・移行、データ保護、権限管理、サービス定着を一体で提案する営業体制を整えた。同社側にはMicrosoft版の開発費やサービス運営費が発生しないため、販売拡大に伴う高い限界利益率も見込まれる。受注実績、製品拡充、販売チャネル、収益性の各面で成長基盤が整いつつあり、中長期的な利益貢献が期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)
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