*11:38JST サンフロ不動産 Research Memo(8):貸会議室の新規拠点開設、部門間の連携強化により堅実な伸長を継続
■今後の見通し
(2) 不動産サービス事業
サンフロンティア不動産<8934>の不動産サービス事業では、売上高17,270百万円(前期比5.9%増)、売上総利益9,060百万円(同3.9%増)と前期実績が好調だった反動から保守的な見通しとしている。特に売買仲介事業では大型案件の寄与が大きかったため、その反動を一定程度織り込んでいる模様である。貸会議室事業の新規拠点開設を進めるほか、各部門間の連携を強化しながら堅実な成長を継続していく。
プロパティマネジメント事業では、管理受託棟数が右肩上がりに推移しており、2027年3月期第1四半期末時点での管理受託棟数は563棟となった。2027年3月期末には600棟を目標としている。またサービス内容の拡充にも注力しており、オーナーとの中長期的な関係構築を目的とした会員制組織「オーナーズ倶楽部」や、入居後の利便性向上と事業成長支援を目的とした専用サイト「テナントマイページ」が運営されている。ここでは防災や管理運営に関する情報を提供するほか、外部講師を招いたセミナーなどを開催している。
貸会議室事業では増収減益を計画している。これは増床に伴う開業費用負担が先行するためであり、中長期的な利益成長に向けた先行投資フェーズと位置付けられている。「部屋を売るのではなく、催事の成功を叶える」という方針の下、単なるスペース提供にとどまらないサービスを志向し、大口企業や業界団体の研修、学会や検定試験の会場としてのニーズを着実に取り込んでいる。法人顧客のリピート需要が増加しており、売上の約8割を上位2割の固定客が占める収益構造となっている。一方で、新規顧客も徐々に増加している。同社のグループ会社であるサンフロンティアスペースマネジメント(株)が運営する貸会議室は、駅周辺など需要の高いエリアに店舗を集中的に展開しているため、受注状況は好調である。これまでは新宿・品川・田町などのエリアに展開してきたが、それ以外のエリアであっても交通の便が良ければニーズは底堅く、事業拡大の余地が十分にあると言える。さらに、近年では自社の会議室を持たない企業が増えているという構造的な変化を背景に、需要は底堅い。
(3) ホテル・観光事業
ホテル・観光事業では、売上高21,950百万円(前期比15.8%増)、売上総利益5,040百万円(同14.9%増)を計画している。なお、2027年3月期はホテル売却益を織り込んでいない。
2027年3月期は9ホテルの開業を予定しており、運営客室数の拡大を計画している。運営客室数の増加を背景にボリューム効果を見込む一方で、2027年3月期の開業案件はビジネス需要主体の立地が多く、平均客室単価はやや低下する見込みである。今後は新規開業ホテルの立ち上げを進めながら、稼働率及び平均客室単価の向上を図る。
2026年4月に開業した「日和ホテル松山」「たびのホテル阿蘇熊本空港」「たびのホテル佐渡Annex」、6月に開業した「たびのホテル飛騨高山(Base高山駅前)」、8月に開業した「たびのホテル宇都宮ゆいの杜」は、総じて順調な立ち上がりで、早期の業績寄与が期待される。また、10月には「たびのホテル青森六ヶ所村」、11月には「たびのホテルlit豊川」、2027年1月には「たびのホテルlit酒田」「たびのホテルlit秋田駅前」の開業が予定されており、開発と開業の両面で事業を拡大していく。
(4) その他
その他では、売上高7,480百万円(前期比27.4%増)、売上総利益1,989百万円(同34.4%増)を計画している。大竹建窓ホールディングスの通年寄与により増収増益の見通しである。なお、ベトナムのマンション案件については、2028年3月期以降の売却・業績寄与を見込む。
■成長戦略
2028年3月期に売上高1,500億円、経常利益300億円を目指す
1. 現中期経営計画と長期ビジョン2035の概要
同社グループは、2024年5月に中期経営計画2028(2026年3月期~2028年3月期)と長期ビジョン2035を策定し、推進している。中期経営計画2028では「お客様視点のものづくりと心温かいサービスで、本業連携多角化を推進し、社会課題の解決に取り組む」を基本方針として、各事業において成長戦略を打ち出し、人財基盤やサービスの強化、本業連携多角化の推進を重点ポイントに挙げている。
2028年3月期の経営数値目標は、売上高1,500億円、経常利益300億円とし、経常利益率20%、自己資本比率45%水準、ROE14%以上を掲げている。ROE目標は前中期経営計画の10%以上から14%以上に引き上げられた。これは2025年3月期の14.7%という実績を踏まえたほか、同社の高い売上総利益率を背景に資産効率及び当期純利益率が高水準で推移していることを反映したものであり、より高いROE水準を目指すことが妥当と判断したためである。
長期ビジョン2035では「限りある資源を活かし、世界を笑顔と感動で満たす!未来価値創造に挑み続ける企業グループへ」をスローガンとして、2035年3月期に売上高3,000億円、経常利益600億円を目標に掲げている。
前中期経営計画においては、オフィス需要の変動などの外部環境リスクに対応しつつ、収益基盤の多角化やESG投資を推進した結果、最終年度は経営数値目標を上回る成果を収めた。これらの着実な実績に加え、10年後のありたい姿を示した長期ビジョン2035からバックキャストし、現中期経営計画を策定したことには戦略的合理性がある。足元の安定的な収益の確保と持続的な成長の両立が十分に期待できると弊社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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