*11:06JST ビューテHD Research Memo(6):葬儀の縮小化や原価高を背景として業界淘汰が加速する可能性が高い
■ 市場環境
1. 生花祭壇事業
ビューティカダンホールディングス<3041>の主力である「生花祭壇事業」の業績は、全国の葬儀件数や1件当たりの葬儀業売上高との相関性が高い。2020年度から2024年度の年間死亡者数、葬儀業売上高の推移を見ると、年間死亡者数は年平均4.0%増と緩やかに増加し、葬儀単価にも持ち直しの傾向が見られるなかで、葬儀業売上高はこの5年間で年平均5.3%増と着実に伸びてきた。死亡者数が増加しているのは高齢者人口が増加していることが背景にあるが、人口構成から判断すると今後も1ケタ台前半の伸びが続くものと考えられる。
一方で、家族葬や1日葬など、コンパクトな葬儀形式の広がりもあり、演出性や花装飾に一定の需要が見られるものの、構造的には単価を抑制する力も働いている。したがって、葬儀単価は全体として緩やかな低下基調で推移するものの、葬儀の形式やニーズの変化によって、単価のばらつきも大きくなっていくことが予想される。
同社のような「生花祭壇事業」を営む事業者は、地域に密着した中小・零細企業の専業者が多いほか、大手の葬儀関連会社が内製化しているところも見られる。前述した葬儀関連業界における環境変化は、当然ながら生花祭壇事業者へのしわ寄せや交渉力にも影響を与え、業界淘汰が加速される可能性が高い。
2. 生花卸売事業
「生花卸売事業」の業績に影響を及ぼす生花(切り花)取扱金額(東京都中央卸売市場)は、2023年に624億円でピークを迎えたものの、その後は緩やかに低下傾向にある。一方、数量は2021年の780百万本を境に減少が続き、2025年は717百万本と直近で最も低い水準となった。したがって、数量・金額ともに減少傾向にあるなかで単価はおおむね前年並みを確保する状況と俯瞰することができる。また、輸入切花の推移については、輸入金額・数量ともに増加し、2025年は直近6年間で最高水準となった。すなわち、国産の減少を補う形で輸入需要が拡大していることがわかる。国内生産者の高齢化のほか、円安、物流コスト上昇なども金額を引き上げる要因となっている。したがって、安定的な調達、物流効率化、価格転嫁の仕組みづくりなどが業界における課題と言える。
3. ブライダル装花事業
少子化の影響や婚姻率の低下により婚姻件数は長期的には減少傾向にある。2023年は戦後で初めて50万件を割ったが、直近は2年続けてわずかながら増加した。一方、ブライダル市場全体は、コロナ禍からの回復により、2023年に1兆5,000億円台となった。挙式場の新規出店や施設のリニューアルが進むなかで、今後も同水準を維持する見通しである。
■ 業績見通し
2027年6月期は増収及び黒字転換を見込む
1. 2027年6月期の業績予想
2027年6月期の業績予想について同社は、売上高を前期比1.3%増の7,400百万円、営業利益を10百万円(前期は166百万円の損失)、経常利益を15百万円(同181百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益を5百万円(同174百万円の損失)と増収及び黒字転換を見込んでいる。
中期経営計画の最終年度となる2027年6月期は、大幅な売上成長を前提とせず、既存事業の収益性改善を1つずつ積み上げ、まずは黒字化を目指す方針である。特に、粗利益率を重視した販売戦略(原価増に見合った価格改定及び高付加価値提案等)や原価管理の徹底により損益改善を図る想定である。また、同社は2026年8月に役員報酬の減額を決定しており、経営陣が率先して固定費の抑制と収益性の改善に取り組む姿勢を示している。減額率は代表取締役会長・社長が月額報酬の10%、専務取締役が7.5%、常勤取締役が5%で、対象期間は2026年8月から2027年6月までである。
事業ごとの取り組みについては、生花祭壇事業は、地域別の営業強化による施行件数の確保、高付加価値提案、花材を中心とする原価管理、制作・配送の生産性向上を進める。生花卸売事業では、商品別・販売先別の採算を重視し、商品構成と販売方法を見直すとともに、販売費削減、廃棄抑制、国内外からの安定調達を徹底する。ブライダル装花事業については、回復した受注を確実に利益へつなげ、1件当たり売上を高める。その他事業は黒字事業の成長を通じて事業構成の改善を図る。
2. 弊社の見方
引き続き、外部環境による影響には注意が必要であるものの、同社業績予想の水準は、収益性改善策の積み上げによる現実的な前提に基づくものであり、十分に達成可能であると弊社では見ている。懸念があるとすれば、早期対応が難しい想定を超えた市場要因の発生などが挙げられるが、いずれにしても四半期決算ごとの収益性改善の進捗をフォローしていくことが重要となる。注目すべきは、次期中期経営計画での事業拡大に向けてどこまで体制を整えられるかにある。特に、関東エリアですでに成果が出始めている高付加価値提案に加え、原価増に見合った価格改定による単価向上(粗利改善)が早期回復のカギを握ると見ており、今後の動向をフォローしたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<HN>