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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】NANOホールディングス Research Memo(7):投資事業を主たる事業とし案件発掘、ファンドレイズ及び投資実行

*12:07JST NANOホールディングス Research Memo(7):投資事業を主たる事業とし案件発掘、ファンドレイズ及び投資実行
■NANOホールディングス<4571>の事業別動向

1. 投資事業の進捗状況
投資対象は、(1)未公開ヘルスケア・ディープテック企業、(2)製薬企業からのパイプラインカーブアウト、(3)上場バイオ・ヘルスケア企業への投資、(4)クロスオーバー投資等に分類される。同社は複数の候補先について検討を進めるとともに、国内外の事業会社や投資家との協議を拡大している。2027年3月期は、ホールディングス体制への移行後初年度として、ファンドレイズ、投資案件の発掘・実行、投資後の支援体制及びグループガバナンスの整備を進める重要な期間となる。これらの取り組みにより、投資案件の獲得、ファンド運営収益の確保及び投資先のグローバル成長支援を進め、投資事業の継続的な拡大につなげる方針である。

具体的な投資実績として、2026年7月、NBIが運用する「NANO Bridge I」を通じて、長鎖核酸合成技術を有するナティアスへの出資を実行した。ナティアスは、核酸をブロック単位で組み立てる独自技術「Blockmer」を有し、従来法では困難であった長鎖核酸の製造工程の短縮、不純物の低減及び大量生産の実現に取り組むディープテック企業である。同技術は日本、米国、欧州、中国及びインドで特許を取得しているほか、経済産業省やAMED等の国家プロジェクトにも採択されている。また、世界の研究機関や製薬企業への製品提供に加え、米国大手化学メーカーとのライセンス契約を通じて「Blockmer」の北米・欧州市場への展開を進めており、既にグローバル市場への足掛かりを築いている。ゲノム編集用ガイドRNAをはじめとする高品質な長鎖核酸への需要拡大が見込まれるなか、世界的にも競争力を持つ日本発の技術企業として、大きな成長ポテンシャルを有すると考えられる。現在、製薬業界では個別化医療への大きなパラダイムシフトが予想されており、AI業界のGPUのように、個別化医療製剤の基盤技術の1つとして重要性が高まると同社はみている。

NBIは、「Blockmer」の世界的な競争優位性や事業の成長性に加え、日本の優れた技術を海外資本やグローバルネットワークと結び付けて企業価値向上を図る同社グループの「Gateway」モデルとの親和性を評価し、投資を決定した。今後は、製造・品質管理体制の整備、グローバル製薬企業やバイオベンチャーへのマーケティング・顧客開拓、営業・事業開発機能及び経営管理体制の強化を支援する方針である。また、NANO MRNAやLuna RDと連携して、核酸医薬領域におけるグループ内シナジーの創出も期待される。

2. NANO MRNAの事業動向
NANO MRNAは、TUG1 ASO(再発膠芽腫)及びRUNX1 mRNA(変形性膝関節症)の臨床開発を進めるとともに、PEGフリーLNPを含む核酸送達技術を基盤とした創薬プラットフォームの強化を進めている。TUG1 ASOについては、再発膠芽腫を対象とした医師主導Phase Ia試験の結果を踏まえ、Phase Ib試験を開始した。RUNX1 mRNAについては、オーストラリアで変形性膝関節症患者を対象とするPhase I試験を進めている。同試験では、膝関節置換術を予定する患者に手術前に製剤を投与し、摘出組織の解析等を通じて安全性及び薬理作用を評価する。2026年5月には、PEGフリーLNP技術を有するLuna RDをグループに迎えた。これにより、mRNA及びオリゴ核酸の送達技術を強化し、既存パイプラインに加えて、LNP技術のライセンスアウトというビジネスモデルを志向している。NANO MRNAは、mRNA、ASO及びDDSを組み合わせた核酸創薬プラットフォーム企業として、mRNAエンコード抗体やin vivo CAR-T等の次世代領域も視野に入れ、国内外のパートナーとの共同研究及び事業提携を推進している。

■中長期の成長戦略

投資事業の拡大と継続的な収益基盤の構築を目指す

同社の中長期成長戦略は、投資先の企業価値向上によるキャピタルゲイン、ファンド運営に伴う管理報酬・成功報酬、投資先及び子会社の事業成長による収益を組み合わせ、複数の収益機会を積み上げるものである。

1. 収益の3本柱
投資事業の収益機会は、主にキャピタルゲイン、ファンド運営収益及び投資先・子会社の事業収益で構成される。第1は、投資先をグローバル市場で成長させ、ライセンスアウト、M&A等により実現するキャピタルゲインである。第2は、ファンド運営に伴う管理報酬及び投資成果に応じた成功報酬であり、複数ファンドを継続的に組成することで収益基盤の積み上げを目指す。第3は、投資先や子会社の事業成長及び事業開発支援から生じる事業収益である。

2. 中期目標
同社は、「NANO Bridge I」のファンドレイズと投資実行を進め、投資実績を積み上げるとともに、将来的な2号、3号ファンドの組成につなげる方針である。ファンド規模、投資件数及びEXIT時期は案件や市場環境に左右されるため、個別案件の進捗を継続的に開示しながら中長期的な成長を目指す。

3. 成長戦略
中期的には、投資先のグローバルバリューアップと、多様なEXIT機会の創出を成長戦略の中核に据える。

(1) バリューアップ戦略
「NANO Bridge I」では、日本の優れた技術を持つ企業・事業資産へ投資し、海外での研究開発、事業提携及び資金調達を支援する。NANOホールディングス、NBI及びNano Holdings USが連携し、科学・投資・経営の専門人材と国内外のネットワークを活用して、投資先をグローバル市場で競争できる企業へ成長させる。投資先の価値向上にあたっては、海外製薬企業とのライセンスや共同開発、海外投資家からの資金調達、グローバルなM&A等を組み合わせる。米国を中心とする海外ネットワークを活用し、日本国内だけでは獲得しにくい資金、事業機会及び評価につなげる方針である。

(2) 多様な出口(EXIT)戦略
EXITは単一の手法に限定せず、ライセンスアウト、戦略的M&A等から投資先に最適な方法を選択する。同社は、EXIT手法そのものではなく、日本の技術をグローバル市場で成長させ、国際的な評価軸に基づく企業価値を実現することを重視している。

■株主還元

NANOホールディングスの投資事業は、ファンドの組成・運営をビジネスの根幹としている。その事業特性上、投資から回収までに複数年を要するため、利益が毎期均等に計上されるビジネスモデルではなく、投資先のEXITに伴い大きな収益が実現する収益構造となっている。

同社は、ファンド運営による収益基盤を構築するとともに、投資先企業の成長支援を通じて、中長期的な企業価値の向上を目指す。投資先の売却等によって大きな収益を実現した場合には、業績及び財務状況を踏まえ、特別配当の実施も検討する考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水 啓司)

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