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家康の天下取り支えた茶屋四郎次郎から、元禄期の豪商・三井高利へ 武士が支配する江戸時代に商人が栄えたのはなぜか

 商人には人頭税も所得税も課されなかったが、任意かつ臨時であるはずの運上金や冥加金の金額がしだいに膨らみ、けっこうな負担となった。しかし、商人たちは取られるばかりでいたわけでなく、大小の都市における社会的権力として事実上の認知を獲得。民政に対して大きな発言力と影響力を持つようになった。

 本来、商人と大工などの手工業者は一括して「町民」と呼ばれていたが、成功した豪商の財力は大藩のそれを軽く上まわり、遊郭で気前よく散財するのは大名や旗本ではなく、もっぱら豪商たちとなった。

 コメに依存した経済のもとでは、豊作が続けば米価が値崩れを起こし、天候不順が続けば食べるものにも不自由する。十分な年貢を徴収できない領主権力も右に同じだが、倉庫業と金貸しをも営む豪商であれば、品薄が予想される商品をたんまりと蓄えることができる。末端価格が最高潮に達するまで倉庫から出さず、現金収入の足りない大名や旗本には高利で金銭を用立てるなどして、利益をさらに増やすことができた。

 江戸時代中期以降の社会は、どう転んでも、富が商人に集中する仕組みだった。

【プロフィール】
島崎晋(しまざき・すすむ)/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』など著書多数。近刊に『featuring満州アヘンスクワッド 昔々アヘンでできたクレイジィな国がありました』(共著)、『イッキにわかる!国際情勢 もし世界が193人の学校だったら』などがある。

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