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森永卓郎氏『ザイム真理教』が示唆する「アベノミクス失敗」の本質 「財政均衡主義」という“根本教義”が「二本目の矢を止めた」

 枝野演説について言えば、安倍政権は消費税増税は実施したが、「財政出動にとことんアクセルを踏んで」などいない(安倍政権下の公共事業関係費は鳩山民主党政権下の公共事業関係費の当初予算よりもむしろ低い)。アベノミクスの【1】から【2】への移行はなかったのである。批判をするなら、「アベノミクスの三本の矢の二本目はどうしたんですか。いつ財政出動するのですか」とツッコむべきではなかったか。

 経済が停滞している時に増税という経済政策は本来なら有り得ないのだが、我が国では、ザイム真理教が、財政均衡主義という根本教義のもと、たとえ国が疲弊しても、この愚策を強引に押し進め、今後も進めようとしている。このような行為はとてもじゃないがカルト教団の教義をもってしか正当化できない、と森永氏は告発している。

「ザイム真理教」という呼称には劇薬に似た激しさがある。本書が大手出版社数社から出版を断られたのは、その激しさ故だろう。ここまで激しい表現を使わなければ伝わらないのだという、著者の覚悟が滲むタイトルだ。そして、この本は売れているという。森永氏が込めた劇薬はすこしずつ効きはじめているのかも知れない。

【プロフィール】
榎本憲男(えのもと・のりお)/1959年和歌山県生まれ。映画会社に勤務後、2010年退社。2011年『見えないほどの遠くの空を』で小説家デビュー。2018年異色の警察小説『巡査長 真行寺弘道』を刊行し、以降シリーズ化。『エアー2.0』『DASPA 吉良大介』シリーズも注目を集めている。近刊に『サイケデリック・マウンテン』、『マネーの魔術師 ハッカー黒木の告白』など。

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