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Jリート市場に追い風 マイナス金利で銀行の運用先に急浮上

マイナス金利政策がJ-REIT(不動産投資信託。以下、Jリート)相場を後押ししている。アイビー総研の関大介氏が解説する。

アイビー総研代表・関大介氏

アイビー総研代表・関大介氏

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Jリート市場に、日本銀行が打ち出したマイナス金利政策による新たな追い風が吹いている。年初から1700ポイント前後で推移していた東証REIT指数は、1月29日(金曜)のマイナス金利政策導入決定後から大幅に上昇し、週明けの2月1日(月曜)には1848ポイントに達した。

もともと、日銀が2015年12月18日に発表した金融緩和の補完措置によって、長期金利が極めて低い水準になることは想定されていた。しかし、マイナス金利政策導入の決定によって長期金利は一段と低下し、長期金利の指標である新発10年物国債利回りが2月9日にマイナス0.035%と史上最低を更新した。この状況だけでも、Jリート相場が上昇する要素になる。

今回のマイナス金利政策では日銀が銀行から預かる当座預金のうち、2月16日から銀行が新たに積み増す分にマイナス0.1%の金利(付利)を適用する。既に預けている基礎残高には従来通り0.1%のプラス金利を適用するが、マイナス金利の対象分については預ける側が金利を支払うことになり、銀行は日銀にお金を預けると損をする。

その狙いをわかりやすく説明すれば、「日銀に国債を売ったことで余ったお金を日銀にこれ以上、置いておくな。投資や融資に回せ」というメッセージである。

銀行側は日銀に積み増ししたかったお金の運用先を探すことになるが、リスクを抑えながら、より高い利回りをとりにいこうと考えると、消去法でリートが浮上してくるだろう。長期金利は過去最低の水準に下がっており、Jリートの分配金利回りと10年国債利回りのスプレッド(乖離幅)の広がりからも、Jリートの魅力が高まっていることがうかがえる。

東証REIT指数が1800ポイント台前半で推移している2月初旬現在、Jリートの平均分配金利回りは3.3%程度をキープしている。長期金利と3%以上の利回りの差があれば、買いやすい水準といえる。投資マネーの一時的な避難先としても向いている状況だ。

※マネーポスト2016年春号

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