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名だたる有名企業が続々と「副業人材」の採用を始める理由

ライオンでは5人の枠に1500人超が殺到した(時事通信フォト)

 在宅勤務やリモート会議をはじめ、コロナ禍によって「働き方改革」が大きく進む中、企業の採用現場においても新たな動きが出始めている。大企業を中心に「副業人材」を採用する動きが活発化しているのだ。副業マッチングサービスなどを展開するランサーズ取締役の曽根秀晶氏が解説する。

「働き方改革の一環として、2018年にいわゆる“副業解禁”がなされ、国が働く人たちに副業を推進するようになりました。その動きが今度は雇う側へと波及し、先進的な大企業を中心に、副業として働く“副業人材”に絞って採用する動きがコロナ禍以降、次々と明るみに出ています」(曽根氏)

 コロナ禍以降の大企業の副業人材の公募で言えば、ヤフー、ライオン、ユニリーバ・ジャパン、ダイハツ工業、三菱地所、ヤマハ発動機、ダイドーグループホールディングスなどの例が報じられている。ヤフーでは110人の枠に4000人超、ライオンは5人の枠に1500人超が殺到し、倍率数十倍から数百倍と副業人気を裏付けている。

「大企業が副業人材の採用に動いているのは働く側にとっては追い風。いずれ中小企業へと波及するのではないか。かつて副業と言えば、お金儲けや小遣い稼ぎの目的でやる人がほとんどでしたが、ここ数年は『副業2.0』という言葉が広まっているように、自己成長やスキルアップのために始める人が増えた。大企業でそれが経験できるのであれば、お金以上の大きなやりがいにつながるはずです」(曽根氏)

 一方、副業人材を採用する企業側にとっても大きなメリットがある。自社にはない知識や経験を持つ優秀な人材に、低コストかつプロジェクトごとの短期間など、都合良く働いてもらえるからだ。企業の内部事情などに詳しい公認会計士の山田真哉氏はこう解説する。

「コロナ禍で不測の事態が続き、さらには業績も悪化する中、企業は中長期の雇用を前提とする『正社員』をますます雇いにくくなっている。在宅勤務やリモートワークの浸透により、現状の正社員の人員余剰の実態もわかってきた。正規と非正規の問題がクローズアップされる中、今後は“スポット的な労働力”を副業市場に求める動きがどんどん広がるのではないか」(山田氏)

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