不動産を相続したのに売却できない! 登記名義の変更をきちんとやっておかないと、財産の処分などで苦労することになる。『週刊ポストGOLD もめない相続』より、故人の名義変更手続きの厄介さと、それを手際よく進めるための対策について解説する。
被相続人が亡くなり、相続の手続きをするにあたっては、「名義変更がスムーズにできるか」が重要なポイントになる。
たとえば故人の預金口座は、亡くなったことがわかると銀行が凍結してしまう。2019年7月から「預貯金の仮払い制度」がスタートしたものの、これはあくまで“仮払い”だ。口座を相続人の名義に書き換えるには、別に手続きが必要となる。
「準備をしておかないと、この手続きは非常に面倒になります」
夢相続代表取締役で相続実務士の曽根惠子氏はそう指摘する。
「銀行で口座の名義変更、ないし解約をするには、故人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本と住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書と住民票、さらに遺産分割協議書を添えて申請する必要があります。
その点、遺言書で口座を引き継ぐ相続人が指定されていれば、相続人の戸籍謄本などの提出を省略できます」
生前の準備が、名義変更の手間を省くことにつながるわけだ。不動産を相続する場合にも同様の注意が必要だ。
「相続した不動産を売ったり、不動産を担保に借り入れをしようとしても、名義が先代のままだと何もできません」(前出・曽根氏)