家計

貯金がそんなに大事?「お金を貯めなくてもなんとかなる」64才女性記者の考え方

老後の生活を心配している理由

老後の生活を心配している理由

 がまんや辛抱で貯金をしても、手に入れた物がそのがまんに見合った価値があるかどうかわからないじゃないか。先行き払えそうなら、いまお金がなくてもなんとか手に入れてしまい、満足できたら機嫌よく働いて借金を返せばいいじゃないか──そう思うようになったのだ。そんなわけで、100円を貯めてから100円の物を買うという堅実な体験ができなかった私は、64才のいまに至るまで「貯金」がうまくできない。でも、お金を貯め込まなくても、やりくりできている。多くの人は「お金がないと不安だ」と言うけれど、不安になりすぎる必要はないんじゃないか、と私は思う。

 そんなわけで、小学1年生で貯金に挫折した私は、手元にお金があるということがどういうことか、いまだにわからないんだよね。たまたま普通預金に1か月か2か月分の生活費が残っていることはあるけれど、たいがいはカツカツ。そんな自分を時々、ボウフラみたいだと思うことがある。浮いたり沈んだりしても、水面が見えているならオッケ。時には沈み込むこともあるけど、沈んだ実感があればオッケ。なんとかなる。なぜなら、私には“貯金力”はないけど、“仕事力”があるからだ。

 最初のアルバイトはやはり7才のときで、隣のおじさんに頼まれて、たばこを買ってくると10円もらえたの。学校から帰ると「ひろこ~」と呼ばれて、たばこかお酒の買い物を頼まれた。自分で体を動かして何かをやって、そしてお金をもらう──仕事といってもお手伝い程度だし、その額はお駄賃程度だけど、働くことの喜びのようなものを体感できたのは何よりも大きかった。子供時代はいろんな仕事をした。たばこの苗を植える箱作りとか、養鶏場の卵集めとか、たいがいは楽しかった。

 私が3才に満たない頃、石工だった実父が亡くなって、母は再婚。義父との折り合いがあまりよくないまま私は育ったんだけど、義父との怒鳴り合いのけんかが絶えなくなった中3からは、とある商店で本格的にバイトを始めた。

 そしてその後、家を出て独力で地元の高校に入学するために、そこの奉公人になった。たった1年間だったけど、15才で大人に交じって働いたことは、きっと私の背骨を作ったのだと思う。

 人がしない苦労をした分、「働きゃなんとかなる」という自信といえば自信、言ってみれば“野生のカン”のような感覚が身についた。そして、私は18才で上京した。

(第2回に続く)

※女性セブン2021年10月14日号

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