元おニャン子クラブの生稲晃子さん(54才)が参議院選挙に出馬し当選したが、それに先立つ6月21日にも彼女は耳目を集めていた。美容室チェーン・TAYAなどを展開する田谷の社外取締役に就任したのだ。生稲さんに限らず、タレントやアナウンサーの社外取締役就任が相次いでいる。一見、彼女たちと本業のかかわりは薄いように見えるが、その背景にはどんな事情があるのだろう。
昨年3月には、酒井美紀さん(44才)が菓子メーカー・不二家の社外取締役に就任。今年5月28日には、いとうまい子さん(57才)が学習塾TOMASなどを運営するリソー教育の社外取締役に就任したことを自身のインスタグラムで報告している。
歌やドラマなどで輝きを見せる彼女たちは実業の世界と一線を画しているように思えるが、女性タレントやアナウンサーを社外取締役に迎える企業が実は増えている。
その背景には、東証プライム市場が「上場会社の独立社外取締役の比率を3分の1以上(必要な場合は過半数)選任すべき」とコーポレートガバナンス・コードに示したことがある。
社外取締役とは文字通り「社外の」取締役で、その組織にしがらみがない分、客観的に経営面に意見できる立場にある。経済アナリストの森永卓郎さんが言う。
「社外取締役の役割は、客観的視点から企業経営を監視するというガバナンス強化が建前ですが、実際には透明性の高い経営を行っているとアピールするのが目的です。そのため有名人はPR効果が高いだけでなく、経営の素人が多いので必要以上に口出しされずに済む、というメリットが会社側にはあります」
社外取締役の選任理由。企業PRを通じて関係性を築いた例も
実際、企業側はどのような観点から社外取締役を選任しているのだろうか。
不二家の社外取締役となった酒井美紀さん場合、現在も同社の親会社である山崎製パンのCMに出演しており、2020年には不二家の広告宣伝イベントに出演していた。
彼女の選任理由について不二家は《女優として活躍される一方、特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパンの親善大使として世界の子どもたちを支援する活動もされており、これらの経験と優れた人格、見識を有しております》としている。