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プロテニス選手のシビアなお金事情 移動費、大会参加費などで赤字になることはザラ

世界トップクラスになれば、他アスリートより高額の収入となるが…(イメージ)

世界トップクラスになれば、他アスリートより高額の収入となるが…(イメージ)

 テニスで最もグレードの高い4大大会の優勝賞金は、億を超えている。世界ランキングトップの選手たちが高額な賞金と多数のスポンサーを獲得する一方、世界ランキング下位の選手たちは厳しい経済事情を抱えているという。あらゆる仕事・業界の“マネー格差”について徹底調査した話題の新刊『マネー格差の天国と地獄』(ニューノーマル研究会編)から、テニス界の厳しいお金事情を紹介する。

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 世界トップのプロテニスプレーヤーが手にする収入は他アスリートと比較しても高額だ。米経済雑誌『フォーブス』によれば、2022年に女性アスリートで最も稼いだ人物は女子テニスの大坂なおみ選手で、日本円にして66億円を超える(1ドル=130円で換算)。

 ちなみに同ランキングの2位はセリーナ・ウィリアムズで4130万ドル、日本円に換算すると53億7000円だ。3位、26億1000万円のアイリーン・グーはスキー選手だが、4位27億3000万円のエマ・ラドゥカヌと、続いて19億3000万円の5位イガ・シフィオンテクもテニス選手だ。1位から5位までのうち実に4人がテニス選手なのである。

 世界的に人気あるテニスは有名選手になるとスポンサーもつきやすく、その結果、高収入に繫がっているというわけだ。もちろん、大会ごとの優勝賞金も高額だ。2020年に4大大会の1つである全米オープンで優勝した大坂選手は、3億1800万円の賞金を獲得。一度の優勝でサラリーマンの生涯年収を超える額を手にしたことになる。

 同大会の場合、世界ランキング104位までであれば、ストレートに本戦出場が可能で、たとえ本戦一回戦負けでも350万円を手にすることができる。

 一方、世界ランクが下位の選手は経済的に逼迫する場合が多い。4大大会のように注目度・賞金額が共に高い大会に出場するためにはランキングの積み上げが必要だ。それにはまず、世界各地でグレードが低く賞金も少ない大会を転戦し、勝ちを積み上げることでランキングを上げていかなければならない。そうした大会は予選に出ても負ければ収入にはならない。

 当然だがテニス選手は一人ひとりが個人事業主である。移動費や滞在費、大会参加費、スタッフの給与、それら全てを選手自身が支払う必要がある。大会で優秀な成績を収めたとしても、収支が赤字になることはざらだ。

 さらに2020年からはコロナ禍が追い討ちをかけた。世界的に大会の中止が相次ぎ、生活費すらままならず家賃の支払いを心配する選手もいたというほどの格差が生まれているのだ。

※『マネー格差の天国と地獄』(ニューノーマル研究会編・小学館)を元に構成

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