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「あげた側」が亡くなった後に発覚しやすい“贈与税”の申告漏れ 失敗例から学ぶ賢い生前贈与のやり方

使いやすくおトクになった「2500万円の非課税枠」

 暦年贈与と並ぶ生前贈与の定番は「相続時精算課税制度」。60才以上の親または祖父母から、18才以上の子や孫に、最大2500万円まで非課税で贈与することができる。

 ただしこの制度を使って贈与された分は、贈与した人が亡くなると、すべて相続財産に持ち戻される。つまり、贈与税がかからない代わりに相続税がかかるようになるという“課税の先送り”にすぎないのだ。この特性から制度の利用を敬遠する人が多かったが、法改正に伴い、来年からは2500万円の非課税枠とは別に、毎年110万円の基礎控除の枠が創設される。

「これまでは、最大の2500万円まで贈与しても、相続財産を減らすことにはつながりませんでした。しかし来年からは新たな110万円の非課税枠ができるうえ、その分は相続財産への持ち戻しもありません」(三原さん)

 つまり、来年からは7年前まで贈与した財産が持ち戻されるようになる暦年贈与よりも、相続時精算課税制度を使う方が有利になるのだ。また、相続時精算課税制度と暦年贈与の併用は不可だが、使い分けることはできる。

「例えば“長男には暦年贈与、長女には相続時精算課税制度”としたり、さらに夫がこの方法を取ったうえで、妻から長女に暦年贈与をするといった方法は可能です。相続時精算課税制度には毎年110万円の基礎控除があるため、贈与から相続までの期間が7年以内だと、こちらの方が有利になります。7年を超える場合はケースによります」(明石さん)

 持っている財産の性質によっても、どちらを選ぶべきかは変わる。相続時精算課税制度で贈与したものは“贈与されたとき”の価値で相続税が計算される。そのため、不動産や株など値動きがあり、将来的に価値が上がりそうなものが多ければ、相続時精算課税制度を使うことで相続税の節税になるのだ。

「ただし不動産の場合、相続時精算課税制度を使うと、相続時の節税効果が大きい『小規模宅地等の特例』が使えなくなったり、不動産取得税や登録免許税がかかってしまうので、普通に相続した方がいいことも多い。どちらが得なのか、事前に税理士にシミュレーションしてもらうのをおすすめします」(三原さん)

※女性セブン2023年7月13日号

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