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ふるさと納税返礼品に「空き家管理サービス」が増加中 相続した実家を自己負担2000円で手入れするという選択

北九州市ではふるさと納税の返礼品に「空き家管理サービス」も

北九州市ではふるさと納税の返礼品に「空き家管理サービス」も

 全国的に「空き家」が増え続け、社会問題になっている。政府は倒壊の危険がある空き家などを認定して、税負担を増やすという“ペナルティ”まで用意して対策を進めているが、目覚ましい成果はまだ見えない。そうしたなか、実質自己負担2000円で様々な返礼品が受け取れることで人気の「ふるさと納税」のメニューのなかに、「空き家管理」を含める自治体が出てきているというのだ。

「平成30年住宅・土地統計調査(総務省統計局)」によれば、1998年に約576万戸だった空き家の数は、2018年には約849万戸に増えている。全国の空き家率は実に13.6%。同調査は5年ごとに行なわれており、現在集計中の調査では空き家率は15%を超える見込みといわれている。

 政府も空き家問題対策に乗り出しており、2015年には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行された。倒壊の危険や衛生上の問題がある空き家を「特定空家」と認定し、所有者が行政の指導などに従わない場合、住宅用地特例による固定資産税減額が解除される罰則規定も設けられた。減額措置が解除されれば、固定資産税は6倍に跳ね上がる(別途、負担調整率あり)。

 今年6月には同法の改正案が国会で可決、成立。放置すれば将来的に「特定空家」となる恐れのある物件を「管理不全空家」と認定できることになった(施行は法案成立から6か月以内)。所有者が何もしないままでいると、税負担が増えるペナルティが課される範囲が広げられようとしているのだ。

 それだけ深刻な問題と受け止められているわけだが、法改正によってどれほどの効果があがるかはまだ見えない。都心に住む人が、田舎の親が暮らしていた実家を相続するケースなどは多く、どうしても手入れが行き届かないということは珍しくない。

全国で193自治体が提供

 そうしたなかで注目されているのが、「ふるさと納税」の仕組みを使った空き家管理という新たな試みだ。自治体に寄附をすると様々な返礼品が受け取れて、2000円の自己負担を除いた額が住民税などから控除される(控除が受けられる寄附上限額は所得などによって異なる)として人気の同制度だが、ここ数年、返礼品として「空き家管理」を出品する自治体が増えているというのだ。

 ふるさと納税の大手仲介サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクによれば、空き家の管理を返礼品としている自治体は2023年6月時点で、全国で193にのぼるという。

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