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日本の金利はなぜ40年近く下がり続けてきたのか? 世界経済の構造変化とバブル再燃を恐れた金融当局

日本では40年ほど長期的な金利低下トレンドとなっている(写真:イメージマート)

日本では40年ほど長期的な金利低下トレンドとなっている(写真:イメージマート)

 米国の利上げや日本銀行による金融政策など、金利にまつわるニュースが注目を集めている。これまで金利はどのように推移していき、どのように経済と結びついてきたのだろうか。著書『教養としての「金利」』が話題の、金融アナリスト・田渕直也氏が解説する。

現代における金利の推移

 現代における金利の大まかな変遷についてみておきましょう。図表1-1は、世界の金利に大きな影響を与える存在であるアメリカの金利とともに、日本の金利の推移を示したものです。金利にはいろいろな金利がありますが、ここでは、ともに10年物国債利回りという金利を表示しています。

日本とアメリカの10年物国債利回り推移

日本とアメリカの10年物国債利回り推移

 短期間ではあまり大きな変化が生じない印象が強い金利ですが、長い目でみればその水準がかなり大きく変動していることがわかります。

 注目すべき点の一つ目は、アメリカの金利が1970年代から1980年代初頭にかけて大きく跳ね上がっているところです。1970年代には、二度のオイルショックを経て、インフレ時代が到来しました。インフレは、一度根付いてしまうとなかなか落ち着かず、むしろどんどん高まってしまうようになりがちです。そして、手の付けられないようなインフレになれば、生活も経済も大変な打撃を被ります。

 そこで、そんなインフレを退治するために、アメリカでは1979年頃からかつてない規模による金融引締め政策が発動されたのです。当時、アメリの中央銀行総裁に当たるFRB議長に就任したのがポール・ボルカーという人で、インフレと徹底的に闘う姿から“インフレファイター”と呼ばれました。その激しい金融政策は世界中に影響を与え、世界同時不況と呼ばれる厳しい景気後退を招きましたが、それでもボルカーはインフレ退治に邁進します。その結果、1980年代半ば以降、ようやくインフレが落ち着き、金利もまた落ち着いてくるようになるのです。

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