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水族館用大型アクリルパネルで世界シェア7割、香川県の企業「日プラ」が世界で認められるまで

 日米の大手と競合するなか、クライアントから材料の強度や透明性などを根掘り葉掘り聞かれても日プラは丁寧に対応し、性能テストでは最も優れているとの結果が出た。

「他社が企業秘密とするところも包み隠さず、根拠を持って説明する姿勢が信頼されて、採用が決まりました。大手から『なぜ無名の会社に発注するんだ』と鼻で笑われたモントレーが『日プラには世界一の技術力がある』と言い返してくれた。彼らに恥をかかすわけにいかず、プライドを持って仕事に取り組みました」(同前)

 迎えた水族館の再オープン時、館長は日プラの仕事をこう称えた。

「私たちの選択に間違いはありませんでした。これが日プラのテクノロジーです」

 この成功が評判を呼び、海外から注文が殺到した。ヨーロッパ、東南アジア、中国とこれまでの納入実績は世界62か国に及ぶ。

「国内のみでやっていた時は大手設計事務所やゼネコンから“四国の水槽屋”として扱われましたが、世界で認められると日本の人たちも、『日プラがそう言うなら間違いない』と言い始めた。まさに手のひら返しです(苦笑)」(同前)

 日プラはカタログ持参で客先を回る営業は一切行なわないが、海外からの注文が絶えない。理由は敷山社長が大切に守る企業精神にありそうだ。

「巨大な水槽を手作業で製造する技術を持つのは世界中でウチだけです。『絶対に壊れないものをつくる』をモットーに一切妥協しないので、プロジェクト関係者とは何度もケンカになりますが、最後は必ず顧客に満足してもらえる。そこで得た評判が最高の広告になるんです」

 この先も子供たちに喜んでもらえる夢のある水槽をつくりたいと四国在住の社長は目標を語った。

※週刊ポスト2023年9月1日号


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