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【日本株週間見通し】今週は上値の重い展開か 米CPIにも注意

先週の日経平均は3週ぶり反落

先週の日経平均は3週ぶり反落

 投資情報会社・フィスコが、株式市場の9月4日~9月8日の動きを振り返りつつ、9月11日~9月15日の相場見通しを解説する。

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 先週の日経平均は103.78円安の32606.84円と3週ぶり反落。先週からの流れが続き、週半ばまで日経平均は8日続伸した。米雇用統計を通過したあく抜け感や為替の円安、中国の不動産政策を好感した動きが優勢となった。一方、週後半は大きく失速し、週前半の上昇分を吐き出した。米供給管理協会(ISM)の非製造業景況指数が予想を上回り、米長期金利が一段と上昇したことでハイテク・グロース(成長)株の下落が重しになった。また、中国政府が米アップル製品への規制を強化したことで米中対立の悪化が懸念されたこともハイテクの売りにつながった。一方で、自動車関連や景気敏感・バリュー(割安)銘柄の強さが目立ったが、週末にかけてはこれらの銘柄も失速し、全体を支えることができなかった。

 今週の東京株式市場は上値の重い展開か。高止まりしている米長期金利や調整色を深めている米ハイテク株の動向に神経質な商状が予想される。米10年債利回りは7日に一時4.30%まで上昇し、8月22日に付けた4.36%を窺う水準にまで再び上昇してきた。債券対比でみた際の株式の割高感が意識されやすく、日米ともに株式市場は当面上値の重さが意識されやすい。米長期金利が高値を更新してきた場合には足元で調整しているハイテク株を中心にリスク回避的な売りが強まりやすく、株式市場全体の調整も避けられないと思われる。

 こうしたなか、13日には米8月消費者物価指数(CPI)が発表される。直近の米雇用関連の指標は揃って労働市場の逼迫緩和を示唆しているが、米供給管理協会(ISM)が公表する製造業・非製造業の景況指数はともに予想を上回ったほか、雇用と価格の項目が揃って上昇し、インフレ収束が一筋縄ではいかないことを示している。このため米CPIの注目度は高い。米CPIは食品・エネルギーを除いたコア指数で前年同月比+4.3%と7月(+4.7%)から鈍化が予想されている。一方、全体を示す総合CPIは同+3.6%と7月(+3.2%)から加速が予想されている。モメンタムを示す前月比ではコア指数が+0.2%と7月(+0.2%)から横ばい、総合は+0.5%と7月(+0.2%)から加速する見通しだ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)がより重視する指標はコア指数だが、足元では、サウジアラビアの想定以上の減産延長の発表を受けて原油市況が昨年11月中旬以来の水準にまで上昇している。原油市況の上昇が警戒されているなか、市場はコアCPIの鈍化よりも総合CPIの加速の方をネガティブに捉える可能性があり、米金利上昇が誘発する株安には注意を払いたい。

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