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シリコンバレーやウォール街にも浸透 ストレスから逃れ業務効率を上げる「マインドフルネス瞑想」が資本主義には“諸刃の剣”である理由

ビジネスパーソンの間にも広がる「マインドフルネス」とは(写真:イメージマート)

ビジネスパーソンの間にも広がる「マインドフルネス」とは(写真:イメージマート)

 日常的にストレスに苛まれることの多い現代人にとって、健康の維持・増進のためにその解消は欠かせない。食事、運動、睡眠など、その手段は人により様々だが、近年世界中で注目されているのが「マインドフルネス」と呼ばれる瞑想法だ。現在では従業員のヘルスケアやパフォーマンス向上などを目指して企業の研修に取り入れられたり、アプリや動画で専用コンテンツが多数開発されたりするなど、裾野が広がっている。小説家・榎本憲男氏もストレスの緩和や執筆時の集中力向上などを目的に、自ら瞑想を実践しているという。金融やマネーを題材にした作品を手がける榎本氏が、「瞑想と資本主義経済」について考察する。

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 ビジネスパーソンの間でマインドフルネスという瞑想法が世界的に流行している。YouTubeにアクセスして「マインドフルネス 瞑想法」で検索すれば、解説する動画がたくさん見つかるが、ここまでの流行を見せているのは、実践者がその効果を実感できているからだろう。

 神経科学等の知見から瞑想は理論的に根拠づけられている。オーストラリアの医師のラス・ハリスは、マインドフルネスを応用して「ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)」という心理療法を開発した。これは科学的に根拠のある手法であり、素早く効果的に、ほんの数分で伝授することが可能だと喧伝している。

 そしてブームの先駆けとなったのが、シリコンバレーだということも、その信頼を裏付ける事実となっている。さらに発信地を絞るとGoogleが浮上する。「Googleでも採用されているのだから安心で確実なのだ」という風にマインドフルネスが紹介されるのを僕は何度か見ている。さらにはウォール街にもこのマインドフルネスの実践者は多いと聞く。一時期、ウォール街の一部トレーダーは、コカインを服用して業務に取り組んでいるという噂があったが、それに比べれば瞑想はいたって健康的で、さらにお金も道具もかからない。座布団ひとつで十分だ。

 逆に、これだけビジネスパーソンの間でマインドフルネス瞑想が流行っている背景には、それだけ日々ストレスに苛まれているからだとも考えられる。ストレスから解放され、業務の効率を上げる技術としてマインドフルネスは受け入れられているのだ。実際、重大な発表が予定されている会議の前日に、じっくり瞑想すると、さしたる緊張もなく会議に臨めたという報告などは数えきれないほどあがっている。

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