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別居中の夫が「給料の減額」を理由に生活費を払ってくれない… 支払い義務のある「婚費の負担額」をどう決めるか

別居中の夫に生活費を払ってもらうにはどうする?(イラスト/大野文彰)

別居中の夫に生活費を払ってもらうにはどうする?(イラスト/大野文彰)

 何らかの事情で別居している夫婦にとって、大きな問題となるのが生活費。たとえば、夫が妻の生活費を負担すると取り決めていたのに、夫側の都合で支払いが遅れてしまうこともあるだろう。そういった場合、どのようにして払ってもらえばいいのだろうか? 実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【質問】
 現在、夫と別居して2年ほど経ちます。私は夫名義の家で子供2人と一緒に暮らしていますが、夫が生活費を半年以上入れてくれません。「給料が減ってお金がない」と言っていますが、生活ぶりを見ると、とてもそうは見えません。別居の原因は夫の不倫で、現在は3年ほど前からつきあっている彼女と暮らしています。

 私は子供が成人するまでは離婚するつもりはありません。生活費を入れてもらう方法はありませんか。(石川県・40才・会社員)

【回答】
 夫婦は互いに助け合い、婚姻費用(婚費)を分担する義務があります。婚費とは、夫婦が未成熟子も含め家庭生活を営む上で必要な費用です。衣食住の費用だけでなく、未成年の子供の養育費・医療・娯楽・交際等の一切の費用をいいます。この婚費を夫婦の資産や稼ぎに応じて負担し合うことになります。夫婦間のこの義務がなくなるのは、離婚か片方の配偶者の死亡により、婚姻が終了したときです。別居しても婚費の負担は必要であり、むしろ、別居する場合にこそ具体化します。

 婚費の負担額は、まず協議で決めるのが普通です。半年前までは定額を支払っていたようですが、その額はおふたりで決めたか、ご主人が決めた額をあなたも異議なくもらうことで了解した合意による金額と思います。

 ご主人の給料の減額が一時的なものでなければ、減収によって婚費の額と負担割合が変更される可能性があります。しかし、その変更について合意するまでは、それまでの婚費の負担義務が継続するので、従来通りの金額を支払う義務があります。

 支払いを請求してもご主人が応じないなら、裁判所の力を借りるしかありません。具体的には、合意された婚費分担の支払いの調停を家庭裁判所に申し立てることになり、調停委員を交えて協議します。

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