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【介護現場の負担を軽減】1970年大阪万博を沸かせた「人間洗濯機」が令和に復活 会社消滅から12年、元三洋電機社員たちも奮闘

三洋は復元を目指していた(1999年撮影)

三洋は復元を目指していた(1999年撮影)

 敏氏はいち早く半導体や液晶パネル事業に進出し、介護施設事業にまで手を広げた。だが、身の丈を超えた巨額投資で財務が弱くなったところをリーマンショックに襲われ、2011年にはパナソニックの完全子会社に。三洋は事実上、日本の電機産業の歴史から姿を消した。会社の“消滅”から12年。あの時、無念の思いで会社を去った元三洋マンが、2025年の大阪万博を間近に控えたこのタイミングで令和版「人間洗濯機」を復活させた。

 男の名は亀井隆平。柔道選手として入社し、引退後は政府と交渉する渉外部門などに席を置いた。根っからの三洋マンで、「パナソニックの社章はつけたくない」と会社を辞め、取引のあった部品メーカーや金型会社と組み「シリウス」という小さな家電メーカーを立ち上げた。社員は12人。うち6人が三洋出身である。

シリウスの亀井社長(左)と井植元会長

シリウスの亀井社長と井植元会長

「入浴」の負担は大きい

 商品の名前は「switle-BODY(スイトル・ボディ)」。サイクロン式掃除機の原理を応用してお湯を肌に吹き付け、瞬時にそれを吸い取ることで体を洗浄できる。長髪でなければ洗髪も可能だ。肌に優しい弱酸性の洗剤を使い、お湯で洗い流すこともできる。吸引力が強いので吹き付けたお湯が垂れないところがミソで、ベッドに横たわる利用者でもシーツを濡らす心配がない。

「入浴と、(暖かい濡れタオルで体を拭く)清拭の中間を狙った」(亀井氏)

ミスト状のお湯が飛び出し、すぐに吸収する(撮影/藤岡雅樹)

ミスト状のお湯が飛び出し、すぐに吸収する(撮影/藤岡雅樹)

 最大の特徴は「手軽さ」だ。スイトル・ボディは重5.5kgで、女性が一人で持ち運べる。グッドデザイン賞などを受賞してきたパナソニック出身の工業デザイナー・小西哲也がデザインした。

 ミスト状のお湯を吹き付けて吸い取る仕組みなので、全身を洗っても使うお湯は1リットル。シャワーを1分浴びた時に使うお湯が10リットルであることを考えれば、節水商品でもある。予定価格は18万4800円。

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