マネー

「自宅介護は自分の性格が悪くなる」93才母に怒りを覚えた64才女性の思い

“黒い自分”をセーブできなくなるときもあったという(イメージ)

“黒い自分”をセーブできなくなるときもあったという(イメージ)

 年老いた親の自宅介護には、多くの苦労が伴う。時には思いがけない衝突が起きてしまうことも。93才の母の自宅で介護している女性セブンの名物記者「オバ記者」こと野原広子さん(64才)が、自身の経験を振り返る。

 * * *
 誰の目にも「余命わずか」だった93才の母親が、自宅に戻ってきたらあれよあれよという間にV字回復。看取るつもりで里帰りした私は、3か月前から親の介護をするはめになった。

「介護は大変」というのは誰でも知っている。けれど、何がどう大変かというと、「大変」の種類が刻々と変わるからひと言で言えないのよね。

 3か月前、母親が自力で食事もトイレもできなかった当初は、体に関するケアで大変だったけれど、それがいまは、自力で食べるどころか「ご飯がすこ~し硬いな」とか、「ところてんはもっと酢を効かせろ」とかうるさいことを言う。

 それほど元気なら、前よりずっと楽になったかというとそんなことはなくて、私は先日、生涯一の怒声を、立て続けに2度、母親に浴びせかけた。

 1度目は夜、寝るときになって、「電気毛布が熱くてたまらない」と言うから見たら「強」。「ああ、シーツを取り替えたときにスイッチを動かしちゃったんだ。いつもの温度に直すよ」と静かに諭したのに、すぐに温度が下がらないことにイラついた母親は、「こうたのいらね(こんなのいらない)。はあ、消しちめよ!」と大声をあげた。

 こうなったときの母親の頑固さには手がつけられない。気がつくと私は、「ああ、消しちまうよ! 消しちまうよおおー!!」とクレッシェンドで絶叫して、本当に電気毛布のスイッチをOFFにした。「凍死しやがれ、ババア!」と心の中で叫びながら。

 あの夜、茨城の山間部はこの冬いちばんの冷え込みで、断熱材の入っていないわが家は寒いというより痛い。母親は、庭のすぐそばのベッドで、ポリエステル毛布2枚だけ掛けて、すやすや寝息を立て始めた。このまま私が寝込んだら、翌朝、母親は冷たくなっているか。または風邪をこじらせ、肺炎を起こして死亡か。そうしたら私の罪状は何になる?

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。