辰年の株式市場は、まさに“昇り龍”のようなスタートを迎えた。日経平均株価は「バブル超え」の史上最高値どころか、「5万円」の大台も見えてくるという。たしかな実力で「世界一」を狙う日本企業に、国内だけでなく海外の投資家も注目している。【前後編の前編】
「バブル超え」は通過点
年明け以降、日経平均は連日バブル後の最高値を更新し、市場は34年ぶりの好況に沸いている。
カブ知恵代表の藤井英敏氏は、日本経済のさらなる躍進を確信する。
「東京証券取引所による経営効率改善の要請や政府の賃上げ促進策などで日本経済の活性化が期待され、世界中の投資家が日本企業の“見直し買い”を進めています。米中対立がもたらす地政学的リスクを回避するため、中国に代わって日本を産業の集積地にする動きも高まっており、今年の日本株の見通しは非常に明るいと言えます。バブル超えは通過点に過ぎず、年内に日経平均4万円はもちろん、5万円に到達しても不思議ではない」
当然ながら、日本企業の実力があってこその上昇基調である。
経済ジャーナリストの有森隆氏は「年始からの株価上昇を象徴する企業」として、ユニクロ、ジーユーなどのブランドを展開するファーストリテイリングを挙げる。
「欧米など海外のユニクロの業績が好調なうえに、暖冬の影響で冬物商戦の苦戦が予想された国内も堅調です。2023年9~11月期の連結業績は純利益が前年同期比26.7%増でこの時期の過去最高を記録。好業績の波に乗ったファストリ株の上昇が日経平均全体を押し上げました。ボーダーレス化が進んで小売業の国境がなくなるなか、会長兼社長の柳井正氏が調達から企画、生産、販売まで自前で行なう一貫体制を構築し、ホップ・ステップ・ジャンプの業績アップを実現しています」
2023年12月時点のアパレル小売業の売上高では、ZARAブランドが主力の「Inditex」(スペイン)や、スウェーデンの「H&M」に次ぐ世界3位だ。多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏が指摘する。
「世界トップを目指すにはさらなる海外展開、とりわけ東南アジアやグレーターチャイナ(中国本土、香港、台湾)が重要になる。ユニクロはヒートテックやエアリズムなどの機能性商品に強みがあり、アジア市場でも十分に勝負できそうです」