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煩雑な相続手続きを格段に簡略化する一枚の書類「法定相続情報一覧図」 その申請手順とひな型の書き方

相続の面倒な手続きを簡略化する方法は(イメージ)

相続の面倒な手続きを簡略化する方法は(イメージ)

 身内が亡くなった際、多くの人が直面するのが相続の手続きに必要となる面倒な「書類集め」だ。昨年、急病で父を亡くしたAさん(55)がこう振り返る。

「めちゃくちゃ大変でした。まず、相続の手続きをするには、父が出生してから死亡するまでのすべての戸籍謄本と除籍謄本、すべての相続人の戸籍謄抄本が必要と知って驚きました。戸籍謄本は登録した本籍地の自治体からしか取り寄せられなくて、父は転勤族で引っ越しを繰り返していたうえに離婚経験もあったので、本籍地を何度も移動させていた。複数の自治体から戸籍謄本を取り寄せなければならず、本当に面倒でした」

 書類を取り寄せた後も苦労が続いたという。

「しかも、法務局や金融機関などで名義変更の手続きをするたびに、戸籍関係の書類一式の提出が求められる。別のところに出した書類の束が戻ってくるまで、他の手続きを進められないんです。複数セットを作ることも考えましたが、書類を集め直すのにも時間とお金がかかるので断念しました。戸籍謄本は1枚取るのに450~700円かかります。相続の手続きがこれほど煩雑とは知りませんでした」(Aさん)

 多くの相続手続きには期限が定められているため、急いで必要書類を集めなくてはならない。マジメに正面から取り組むとAさんのように疲れ果ててしまうので、手間を省くために智恵をしぼる必要がある。

 そこで知っておきたいのが2017年5月に導入された「法定相続情報一覧図」である。司法書士行政書士MY法務事務所代表の村田洋介氏が語る。

「戸籍謄本等の束と相続関係を一覧にした図を法務局に提出すると、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。この写しが1枚あれば関係各所に書類の束を提出する必要がなく、相続の手続きが格段に簡略化されます」

 導入以降、法定相続情報一覧図の写しが使える場面は少しずつ広がり、今では「法務局での名義変更」「銀行の口座解約」「相続税の申告」などでの添付書類として使用できるようになった。

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