住まい・不動産

【節税用アパート経営の落とし穴】不動産評価額を圧縮するはずが「空室だらけで赤字」「相続税が払えない」など本末転倒の事態も

相続対策のアパート経営には落とし穴が多数(写真:イメージマート)

相続対策のアパート経営には落とし穴が多数(写真:イメージマート)

 相続で最もトラブルになりやすい「不動産」。遺産に含まれる家や土地がトラブルにつながるわけだが、その一方で、「不動産を活用すると、相続税の節税になる」という話を聞いたことがある人も多いだろう。

 その考え方は基本的には間違っていないが、やり方を誤るとかえって大きな負担が生じることもあるので要注意だ。

 現金(預貯金)を相続した場合、その額面がそのまま相続税の課税対象となるが、同じ額の現金で不動産を購入すると、相続税評価額は一般的に7~8割に圧縮される。土地や建物は、実際の取引価格より低い額で評価されるのだ。

「所有する不動産が“賃貸用”だと、さらに評価額を下げられます」

 そう解説するのは不動産鑑定士で相続対策専門士の竹内英二氏だ。

「アパートや店舗、事務所など、土地・建物を他人に貸す使い方(借家事業)にしていると、その不動産の相続税評価額が下がるという計算ルールがあるのです」

 不動産を借りている人を好き勝手に退去させることはできない。利用に制限がかかるので、自宅など自分用に使う不動産に比べて価値が劣るという考え方だ。結果、「アパート経営をすると相続税対策になる」という話につながってくる。

「遊休地を持っているよりも、そこにアパートなどを建てて貸しに出すほうが評価額は下がりますし、家賃収入も得られるので“二重の得”になる。また、大概のケースでアパートを建てる際には借り入れをします。相続発生時にはプラスの財産の総額から借入金などマイナスの財産を差し引いた額が相続税の課税対象となる。借入金があることが、さらに相続税の圧縮につながるわけです」

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