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相続時に困る「親の借金」 相続放棄は3か月以内に手続き必須、借金総額が不明の場合は「限定承認」申立を

親に借金がある場合、相続をどうするか(イメージ)

親に借金がある場合、相続をどうするか(イメージ)

 2024年、相続に関するルールが大きく変わった。相続をスムーズに進めるには、制度をしっかり理解したうえで対策していくことが重要になる。遺言書の作成や相続税対策、生前整理など「親の生前にできること」は比較的余裕を持って進められるのに対し、「死後の手続き」はタイムリミットがあるなかで速やかに進める必要があるから注意が必要だ。

 たとえば、親の遺産の相続放棄をするには、相続の開始を知ってから「3か月以内」に手続きをしなくてはならない。相続・贈与に詳しい税理士の山本宏氏が解説する。

「被相続人からの権利・義務の承継をすべて拒否するのが相続放棄です。親の財産よりも明らかに借金のほうが多い場合などに活用を考えます。放棄できる負債には、未払いの家賃や税金、水道光熱費なども含まれます。

 手続きとしては相続発生から3か月以内に被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出し、受理されればOK。期限さえ守れば、非常に簡単な手続きで済みます」

 3か月以内に手続きを終えられないと、原則としてプラスとマイナスの財産を両方引き継ぐ、単純承認になってしまう。とはいえ、何の準備もない状態から3か月以内に親の資産・負債の全容を掴むのは簡単ではない。とりわけ借金を把握するのは困難なケースが少なくないという。

「個人間の借金や保証人になっていないかなどは確認が難しい。できれば、親が存命中にプラスとマイナスの財産をエンディングノートなどに書き残しておくのが望ましいが、隠してしまう人も多いのが現実です」(山本氏)

次のページ:借金総額がわからないなら「限定承認」の手続き
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