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【中学受験最新事情】受験率の高止まりは今後も続くと考えられる理由 「受験者数は2023年度以降ピークアウト」予想を覆す大きな追い風の正体

「中学受験生の家庭」が大きく変化している

 ただ、中学受験に今、起こっている最大風速の追い風は、「中学受験生の家庭」の質の変化だ。かつて、中学受験は専業主婦家庭のものだったが、今は完全に共働き家庭のものになっている。先に紹介したように23区の子育て世帯年収の世帯年収は1000万円近くなっているのは共働き世帯が増えているからだ。ある大手塾も入試報告会で「生徒の7割は共働き家庭」と話す。塾にとっても、いかにその層を取り込むかが勝負になっている。そのため、大半の塾では授業のあとに補講を行ったり、自習室や質問対応などを充実させたりして、子どもの学習が塾の中で完結できるようにしている。

 では、そういった中学受験生の家庭のライフスタイルが専業主婦家庭から共働き家庭に変化したことが、なぜ中学受験の追い風になるのか。

 今回は、現在の中学受験の過熱はそうそう冷めないだろうという推測と、その理由の一つとして、共働き家庭の増加という変化を指摘した。次回記事では、具体的に「なぜ共働き家庭が増えると中学受験の追い風になるか」について言及していく。もちろん、共働きで経済力が高い家庭が増えているからといった単純な話ではない。

第2回につづく

【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。

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