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ビジネス

「必ず海外企業の標的に」ホンダとの統合破談で狙われる日産 筆頭候補の鴻海の他にも“買い手”として浮上する大物企業、カギを握る“アクティビストの思惑”とは

早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授

早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授

注視すべきはアクティビスト

 早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は「必ず敵対的買収を含めた海外企業の標的になるでしょう」と指摘する。

「日産の株主には、アクティビスト(物言う株主)が入っています。旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントに加え、香港のファンドであるオアシス・マネジメントの名前が挙がっています。アクティビストの狙いは単純で、(日産の)株価を上げて売り抜けたい。そのために株価を急激に上げる戦略を取ります。おそらく、すでに海外の企業やファンドに声を掛けているはずです」(以下、「」内は入山氏)

 買収が決まらずとも、買収の可能性が浮上すれば、MBO(経営陣らによる自社買収)といった対抗策も検討される。いずれにしても、株価上昇の要因になるという指摘だ。

「その上で、(買い手の)筆頭候補は鴻海。今後、運転の自動化が進んで台数が増え、車はますますコモディティ化(一般化、大衆化)していきます。そのような環境変化のもとで、鴻海は電気自動車(EV)事業を成長戦略に据えています。実際、いま鴻海はルノーから資本を引き受ける形で、日産に提携のアプローチをしているようです。

 数年前ならEVに強みを持つBYDや、ボルボを傘下に持つジーリーといった中国系が交渉相手になる可能性もあったと思います。ただ、トランプ氏が大統領になったことで中国系企業にとって米国での商売はリスクが大きすぎる。日産の中核市場は北米で、中国の会社にとってはメリットがありません。その点、鴻海は中国政府に近いとはいえ、中国の会社ではありません」

 鴻海の関与を本命視しつつ、他の買い手が出てくる可能性もあるという。

次のページ:自動車メーカー以外が買収を目論む可能性
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