株主総会事前質問状の例
個人アクティビストの増加で株主思いの企業が増えると期待
──サマンコーさんが投資対象としているのは大型株ではなく中小型株なんですか?
サマンコー:そうだね。中小型株は、ちょっとした変化で株価も大きく上がる可能性をまだまだ秘めているからね。
──中小型株の方がアクティビスト活動の手応えはありそうですね!
サマンコー:例えば、ある特殊車両メーカーでは、その企業の惨状について、社外取締役全員にお手紙を送ったこともあるよ。やはりその特殊車両メーカーは、大手自動車関連メーカーの子会社だったんだけど、414億円と総資産の44%に上る「預け金」が親会社に対してあったんだ。「資産の半分近くを親会社に吸い上げられている状況をどう思うか?」「使い道のない余剰資金は株主還元するべきだ」と主張した。その結果、預り金を撤廃されて、株価も少しだけど上昇してくれた。
──資本コストや株価を意識した経営を中小型株の企業に迫ることは、経営への影響が大きく、やりがいはあるけれど、だからといってすぐに株価に反映するとは限らないんですね。
サマンコー:だから、投資家がみな、アクティビストになる必要はないよ。私はずっとやり続けるけど、オススメはしないね。ただ、実際、2023年3月期決算企業で個人から株主提案を受けた企業は29社もある。こうした動きはどんどん増えていくことは確かだろう。企業努力をしない企業は少しずつでも減っていくと期待はしているよ。
──よし! 僕も内部保留を繰り返している企業に、次の株主総会では勇気を持って質問してみよう!
サマンコー:そうそう、そういう小さな一歩が大事だよね
※個人投資家との会話の全貌は、書籍『投資家バーの常連客から聞いた 投資の成功術』に掲載。本記事は同書を元に一部抜粋して再構成したもの。なお、同書にも登場する個人投資家・ナスダッ子さんのインタビューは、別記事『《資産3億円の元専業主婦・ナスダッ子さんの最新注目米国株5》下落局面でも持ち続けたい「ハイテクグロース株」のポイント』で紹介している。
【プロフィール】
サマンコー/FIREして10年以上。弱小個人株主でも会社へのエンゲージメントは可能であると信じ、長期に亘ってPBR1倍を達成していない企業に対して、株主総会事前質問状送付や他株主への働きかけ等を通じて資本コストや株価を意識した経営を促している。