エヌビディア株によって資産を増やした「億り人」が考える今後の見通しとは(写真はジェンスン・フアンCEO、時事通信フォト)
トランプ大統領の「相互関税」によって米国をはじめとする世界の株式市場に動揺が広がる状況を目の当たりにすると、株式投資による資産形成の難しさを実感する。ただ、数年に一度は訪れる大きな経済ショックを乗り越え、投資で大きな資産を築いた“億り人”たちは少なくない。もともとは専業主婦だったのが夫の退職をきっかけに55歳で株式投資を始め、米国株を中心に約7年で資産を3億円まで増やしたとして話題なのが「ナスダッ子」さんだ。
現在は投資コミュニティーでの活動、アパレル会社の経営にも乗り出したナスダッ子さん。その投資歴のなかでは、現在のような先行きが見通せない下落局面で「狼狽売り」をして後悔したこともあるというが、そうした経験をどのようにして乗り越えたのか。ナスダッ子さんに話を聞いた。
思い切って買ったアマゾン株のビギナーズラック
30年間専業主婦として、家族のために多くの時間を使ってきたというナスダッ子さんは、7年前に投資を始めるまで、株の知識は一切なかったという。
「夫が新聞社に勤める経済記者だったため、インサイダー取引になる懸念から個別株で運用する選択肢は長い間ありませんでした。投資信託で少し運用していたくらい。ただ、夫が64歳で退職することになり、私はまだ50代半ば。“一緒にリタイア生活はちょっと早くない?”と思いました。既に子供は手を離れていましたし、何かを始めたいという気持ちが湧いてきたのです」(以下、「」内はナスダッ子さん)
そう考えていたナスダッ子さんの目に“アップル株が10年で10倍になった”と報じる記事が飛び込んできた。「夢があるなと思った」といい、夫の退職金やそれまでの貯蓄などで投資を始めようと決意する。最初から思い切りよく、まずアマゾンの株を500万円分買ったという。
「証券会社に勤める知人に相談したところ、“今、始めるなら(米国の新興企業向けの株式市場である)ナスダック一択ですね”と言われました。そこで、当時便利だなと感じていて、さすがに潰れることはないだろうなと思ったアマゾンを買ってみることに。500万円分だったので、証券会社の人には“度胸があるね”と言われました(笑)。するとみるみるうちに上がっていった。
いわゆるビギナーズラックってやつですね。株式投資に慣れている人は、上がりすぎると下がってくるというレンジ相場に慣れているため、高くなると怖くなる。でも、当時の私は何も知らず、買うと増え、面白く、調子に乗っていた。持っていた投資信託もすべて解約して、米国株を買いまくりました」