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田代尚機のチャイナ・リサーチ

トランプ大統領「対中関税145%」でも中国の台頭を抑えるのが困難な理由

BYD、DeepSeek、ロボット産業など、米国を脅かす存在になった中国

 中国は、ミクロベースでみれば、逆境に耐える力、逆境をばねに成長する力がある一方、マクロベースでは、中国以外からの調達の難しいレアアースの供給を絞ったり、中央銀行や中央系投資会社を中心とした国家資本の金融機関が米国債市場で価格形成に影響を与えたりするような手段で、米国経済の最も脆弱な部分を突くことができる。

 新エネルギー自動車の急速な発展とそれを支えるBYDをはじめとした多くの新興メーカー、新しいアイデアを組み込むことで、低コストで高い品質の生成AIを完成させたDeepSeek、裾野の広い産業構造や、質の高い部品の国内調達が可能なことを背景に急速に発展するロボット産業などが中国にはある。米国の製造技術、ビジネスモデル、市場経済・金融経済の仕組みなどを学び取り、米国以上にグローバリゼーションによる恩恵を吸収できるようになった中国は、今や米国を脅かす存在となっているだろう。

 トランプ大統領が、国内のグローバル企業だけならまだしも、中国の台頭をも抑え込もうといった壮大な目標を前に、拙速に高関税をかけるだけではうまくいかないのではないか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。

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