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楽天モバイルが2026年から始める「衛星モバイル・サービス」の巨大なインパクト 原理的に「面積カバー率100%」で船の上でもつながる、有事に強いサービスとして世界が注目

多くのメディアが注目

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時価総額が1兆円を突破

 こうした動きから分かるのは、ウクライナでの出来事をきっかけに、有事の通信インフラとして、衛星モバイルが持つ役割が極めて重要であると認識されるようになった、ということだ。そしてもちろん、シコルスキ氏が言う「他のサービス供給者」の中にはASTも入っている。ASTにはスターリンクを超える長所がある。ウクライナの件で分かるように、スターリンクを利用するには、特別仕様の端末と、地上側に衛星と電波をやり取りするアンテナ施設が必要なのだ。
 
 これに対し、低軌道上でテニスコート大の巨大アンテナを周回させるASTの方式では、地上に必要なのは地上のネットワークと衛星を繋ぐ「ゲートウェイ」と呼ばれる送受信装置だけで、それも「3か所で日本全土をカバーできる」(三木谷氏)という。端末は今使っているiPhoneやアンドロイド端末を、そのまま使える。

 特別なアンテナを置かず、市販のスマホと宇宙空間にある衛星で直接電波をやり取りするという手法を目指すASTが2017年に発足した時、専門家の多くは「荒唐無稽」と笑った。しかし三木谷氏は楽天グループがMNO(自社回線を持つ携帯事業者)に参入すると決めた2020年、他社に先駆けてASTと戦略的パートナーシップを結ぶ。300億円を投資して発行済み株式の15%を握った。

 その後、ASTの開発は順調に進み、2021年にはナスダック上場を果たす。2024年1月にはグーグルとAT&TがASTと戦略パートナーシップを結び、同5月には米最大の通信会社であるベライゾンが1億ドルを出資した。ASTの株式時価総額は1兆円を突破した。楽天の出資分はおよそ1500億円の価値を持つ。5年で5倍になったわけだから、2020年の時点でASTへの出資を決めた三木谷氏は慧眼と言える。

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