中・大型株よりお宝銘柄を発掘しやすい
小型株投資にはさらに有利な点があります。
全上場企業のうち実に小型株は78%、3109社(2024年4月時点)もあります。これだけ多くの候補の中からαのあるお宝銘柄を見つけられることです。
一方のプロは中型株と大型株から、大きなリターンが狙えるお宝銘柄を見つけなくてはなりません。中型株、大型株は合わせても891社(2024年4月時点)。プロは個人投資家よりはるかに少ない対象先から銘柄を選択しなければならないのです。
中・大型株投資の市場参加者は8割がプロ、知識も情報も十分に持ち、合理的な判断ができるプロが揃っています。そのような条件が揃った市場では株価はおおむね適正価格なので大きなリターンは期待できないというのが効率的市場仮説でした。
「α」が見つけにくい中型株・大型株891社の中から、成果を得られる銘柄を発掘するなど、余程の才覚がないとできません。
私が尊敬する投資家の清原達郎さんは著書『わが投資術』(講談社刊)で、「大型株で投資家が儲けるためには“市場が見せる一瞬の隙”を逃さないことです。まあ小型割安株の場合は驚くほど隙だらけなのですがね」と述べていますが、私も全くの同意見です。
個人投資家で財を築いた多くの投資家は「小型割安株」の分野で戦ってきました。
小型割安株はプロの追随買いが狙える
ダメ押しでもう一つ、小型割安株のメリットをお伝えします。
それは、プロの追随買いが期待できることです。
投資ではほかのプレイヤーより先に有望株を買うのが勝つための第一条件。小型割安株なら、プロが参加しないうちに有望株が買える可能性が大きいのです。
例えば時価総額250億円の有望株を買ったとしましょう。その企業が目論見通り成長し株価が上昇して、時価総額が300億円を超えたとします。すると「投資対象は時価総額300億円以上」との基準を設けていたファンドがこの企業を買えるようになります。
さらに株価が上がり時価総額が増えるにつれ、500億円以上の制約があった機関投資家が、あるいは1000億円以上の制約があった機関投資家が追随買いするようになります。機関投資家の買いが増えていけば株価も上昇していきます。
このように小型割安株はプロの先回りができるという非常に有利な立場で戦えるフィールドなのです。
確かに投資のプロは素人に近い個人投資家に比べ、実力も情報量もあります。
しかし、プロは投資対象に対して時価総額の制限など手かせ・足かせをはめられた状態で戦わなければなりません。一方の個人投資家は自由です。プロができない手法を追求して勝率を上げられます。
その代表的な戦略が「小型割安株投資」です。私が今日まで好成績を上げてこられたのは「小型割安株」というブルーオーシャンで戦ってきたからなのです。
※ヘム・著『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』を元に一部抜粋して再構成。なおトランプ関税に振り回される今の株式市場でヘム氏が注目する具体的な個別銘柄については、関連記事の最新インタビュー『《億り人が選ぶトランプ関税の影響を受けにくい5銘柄》資産4億円超のヘムさんが厳選した東証スタンダード上場のお宝株、内需で稼ぐ小型割安株を狙い撃ち!』にて、紹介している。
【PROFILE】
ヘム/京都大学卒業後、総合商社に入社。社会人1年目より投資を始め投資歴は27年になる。30歳で脱サラをして起業。現在も2社を経営する投資家兼会社経営者。392銘柄保有中、投資時価4.1億円(2025年3月31日時点)。個別銘柄分析&ポートフォリオ構成銘柄&成績をXで公開したところ、アカウント開設後、1年半でフォロワーが3万人突破。データを重視した投資手法で、その再現性の高さから、投資初心者から玄人まで幅広い支持を得ている。最新刊は『「増配」株投資 年1,075万円もらう資産3.7億円の投資家が教える!』(KADOKAWA)。