東京証券取引所が発表したグロース市場の企業に対する新基準案の内容とは
2025年4月、東京証券取引所は新興企業向けのグロース市場の上場維持基準の見直し案を発表した。2030年以降、上場から5年を超えた企業に対して、時価総額100億円以上を求める新基準を導入しようとするもの。このルール変更の背景や、対象企業の具体的な対応策、そして投資家が注目すべきポイントはなにか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第140回は、「グロース企業の上場維持基準」について。
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2025年4月、東京証券取引所はグロース市場の上場維持基準を見直し、上場から5年経過した企業に対して、時価総額100億円以上を求めることを新たな基準とする案を発表しました。
東証が発表した「グロース市場における今後の対応」
新興企業やスタートアップなど成長初期段階の企業が対象
東京証券取引所には、東証プライム、東証スタンダード、東証グロースの3つの市場があり、それぞれ上場対象となる企業の特徴は異なります。
東証プライムは、大企業やグローバル企業など、社会的信頼性が高く、流動性も十分な企業。東証スタンダードは、中堅企業や、ある程度実績のある企業。東証グロースは、新興企業やスタートアップなど、成長初期段階の企業です。
昨年まで、東証プライム市場に上場する企業に対して、PBR(株価純資産倍率)1倍割れの是正など、東証からの“圧”が強く、対応策として増配や自社株買いを行う企業が急増し、そういった企業の株価はおおむね上昇しました。となると、グロース市場の基準変更も一部企業の株価を押し上げるカタリスト(きっかけ)になるかもしれません。