“トランプ・バブル”を見据えてすでに動き出している億り人投資家も(写真/AFP=時事)
これほどまでに「市場の先行きが不透明」といわれる事態があっただろうか。米国のトランプ政権の相互関税によって株式市場がパニックに陥るも、関税措置の「90日間停止」が発表されるなどして世界のマーケットは翻弄されている。
新たなステージが始まる可能性
もっとも、この状況はトランプ氏がもたらす“新たなステージ”の始まりという見方があることを知っておかなくてはならない。マーケットアナリストの平野憲一氏(ケイ・アセット代表)が語る。
「トランプ政権は90日後に再び中止か延期かの選択をするわけで、それまでは不透明な状況下で株式市場は大きく上げ下げを繰り返していくでしょう。
しかし、決して悪い状況ではないと見ています。トランプ大統領にとっては、対中国や対世界との関税戦争に勝ち、米国経済を盛り上げることが来年の中間選挙にも勝つ唯一の手です。いずれは関税戦争を終結させ、世界を“トランプ・バブル(株価急騰)”へ誘導する道を開こうとしているとの見方ができます。投資する立場として、ただ不安を募らせるだけでは何も始まりません」
日本では新NISAが2年目に入り、ブームに乗って参戦した個人投資家にとっては、目まぐるしく乱高下する市場に不安が高まる。
だが、平野氏の指摘するように米国経済が上向くのであれば、新NISAで人気の米国株の動きとの連動性の大きい投資信託にも逆転の目があるということであり、保有資産の目減りを恐れて売りに走る以外の選択肢もありそうだ。