「このサイトにはそれがいいと書いてある」と反論
テレビ制作会社に勤務するCさん(30代/男性)は、「検索しない新卒社員」に困惑したことがある。
「ある事件について調べておくよう新卒社員に指示したら、『どうやって調べるんですか』と言われました。インターネット自体には慣れているものの、普段はSNSしか見ないとのこと。わからないことはChatGPTに聞いたら終わりで、それ以上調べることをしないんです。結局Yahoo!やGoogleなど検索エンジンの説明からしなくてはならず、むしろうちの祖父母のような高齢者のほうが検索に慣れているのでは、と思ったことがあります」(Cさん)
メーカー勤務のDさん(30代/女性)は「検索の仕方が人によって異なるのも考えものです」とため息を漏らす。
「自分に都合のいい情報をインターネットで探してくる男性の新入社員がいるんです。電話口での応答がカジュアルすぎだったので注意したところ、『このサイトにはそれがいいと書いてある』などと反論されました。彼には悪気がなく、むしろちゃんと調べようという熱意は持っているとも言えますが、ネット上に情報が溢れかえっているのは、案外厄介かもしれません」(Dさん)
先輩社員側には「反省」と「学び」も
もっとも、人と人とのコミュニケーションが最初から上手くいくわけではない。なかには、新卒社員の言動に戸惑いながらも、「配慮が行き届いていなかった」と、今後の指導の糧にする先輩社員たちもいる。
商社勤務のEさん(40代/男性)は、部下と交流を図るためにセッティングしたサシ飲みの席で、自分の振る舞いを見つめ直す出来事があったという。
「予約した店に到着して飲み始めた瞬間、部下に『なるべく早めに終わると助かります』と言われたんです。次の予定があるなら先に言ってくれれば調整可能だったのに……とは思いましたが、『飲み会をOKしてくれた時点で、その日は予定を空けてくれている』とこちらが勝手に決めつけていたのも事実。今後は終わりの時間を設定するようにしようと思いました」(Eさん)
IT企業勤務のFさん(30代/男性)は、“こちらが先回りして留意事項を言っておく必要がある”と思わせられたのは、オンラインミーティングでの出来事だった。
「新卒女性を交えて、新しいプロジェクトでの顔合わせの社内オンラインミーティングがあったのですが、その社員は挨拶もせず、ずっとカメラもオフ。結局、彼女は顔を一度も出さないまま、会議は終了となりました。
あとからなぜカメラをオフにしていたのか聞いたら、『メイクをしてなかったので』とのこと。“顔見知りならまだしも、初対面の場合は顔を覚えてもらうためにもカメラはオンにしてね”と予め伝えておくべきだったと勉強になりました」(Fさん)
新入社員にもそれぞれの背景や事情はある。指導する側もそれを踏まえて対応することが求められる難しい時代になりつつあるようだ。