高千穂町でコメを作る30代の兼業農家もこんな言い方をする。
「江藤さんはもらったコメに『石とかが入っている』と言っていた。普通は流通の過程で籾殻や米粒程度の小石が混ざっていても卸、小売りで取り除かれる。ただ、自家消費用に保存しているコメはそこまで念入りにやらない。そういう親しい人からもらったコメということでしょう。有権者との近さをアピールしたかったんだろうなとあの発言を聞いて思いました」
一方で延岡市のコメ農家「きなりファーム」代表の大神玄暉氏は、なんとか安いコメを手に入れようとくず米に手を出さざるを得ない国民の切実な状況から江藤発言に厳しい目を向ける。
「うちではこごめ(割れたり砕けたりした米粒)や着色米(害虫被害で黒や茶色に変色したコメ)など選別落ちしたくず米を“鶏のエサ”として通販サイトなどで販売しているのですが、昨年あたりから『これ、食べられますか?』という問い合わせが増えた。『人間は食べられません』と答えていますが、もしかしたら食べている人もいるかもしれない。それだけ困っている人が多いのに江藤さんの発言には怒りを通り越して呆れています」
石破事務所もそこら中に農産物が山積み
支援者にコメをもらうのは当然で、政治家の特権だと気付こうともしない。それは江藤氏の更迭を最後までためらった石破首相も同じだ。
政治部記者が証言する。
「国会議員会館の石破事務所には支援者から送られてきたとみられる農産物がそこら中に積まれていましたよ。私が見たのは3年ほど前ですが、山芋や各種のフルーツ、コメもあったと思う。ほとんどは熱心な有権者が『頑張れ』と送ってきたものだったようですが、石破さんは農水相経験者でもあるから関係団体のお歳暮も多かったんでしょう。番記者はみんな見てますよ。今回、江藤大臣に甘かったのは、自分も同じことをしてきたからではないでしょうか」
石破首相の場合、江藤氏のように自宅の食品庫ではなく、会館の事務所に農産物がそれこそ「売るほど」積まれていたというのだ。
石破事務所に問い合わせたが、期限までに回答はなかった。
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※週刊ポスト2025年6月6・13日号